教育福島0100号(1985年(S60)04月)-012page
総合的に調整する。
また、県が自ら企画し、実施する教育事業は、学習内容が必ずしも地域を基礎とせず、全県を対象として実施することが望ましい事業、高度で専門的な事項を内容とする事業、先導的、モデル的な事業など、広域なものや県全体の生涯教育の水準の向上を図る内容のものを考える。
(ウ) 広い視野と豊かな経験をもつ指導者の養成
県においては、市町村における研修を奨励するとともに、より専門的、理論的な内容を持つ研修を実施し、県内の指導者が交流する機会の拡大に努め、広い視野と豊かな経験をもつ指導者の養成を図る。
(エ) 広域的な生涯教育に関する啓発活動
県は、広域的な事業についての周知を図るとともに、生涯教育に関するデータバンクとして市町村との間で情報の収集や提供を行い、県内各地の学習活動の紹介や学習意欲の喚起を図り、啓発活動に努める。
つまり、県民の生涯学習の第一線を担う市町村における生涯教育推進体制の整備を促進するとともに、県と市町村の役割分担の明確化を図り、緊密に連携、協力することによって、生涯教育の効率的な推進に努めることである。
三、生涯教育推進のための事業
本年度から新規事業として、生涯教育推進事業を開始する。
この事業は、県民の一人一人が生涯にわたって、その個性と能力を伸ばし、生きがいのある充実した生活を送ることができるように、生涯教育の観点から社会のさまざまな教育機能を総合的に整備、充実することをねらいとして実施するものである。
なお、推進体系は、図1のとおりである。
(1) 生涯教育推進体制
生涯教育を推進するための体制づくりとして、生涯教育推進本部・生涯教育推進会議を設置して、その充実に努める。
つぎに、生涯教育推進会議は、生涯教育の基本となる考え方について共通理解を深めるとともに、本県における生涯教育関係事業の望ましい推進方策について検討する。
また、推進本部は、県行政における推進の中心となるもので、生涯教育事業の企画・調整や推進、行政機関・関係団体との連絡調整を行い、本部、幹事会、担当者会から成り立っている。
なお、推進体制は図2のとおりである。
(2) 生涯教育モデル事業
1) 生涯教育データバンク
生涯教育データバンク情報提供事業は、生涯教育に関する教育資源を調査、収集した資料の中から、基本的データを抽出して、情報提供するものである。
(ア) 教育資源に関する調査研究
各種の情報や資料を適確に把握し、分析することにより、生涯教育の推進を図る。
(イ) 生涯学習相談
社会教育指導者が生涯教育を推進するにあたって、当面する問題点や学習情報を学識経験者のもとで話し合う相談機能の充実を図る。
(ウ) 生涯教育情報提供
各種の情報を収集し、県民に提供することにより、生涯教育の推進を図る。
ア) 「生涯学習ふ<しま」の発行
県民が生涯の各時期にわたって、学習活動へ参加することを促すため、社会教育に関する情報を中心に、生涯学習にかかわる各種情報を提供し、県民の学習意欲の啓発と学習機会の拡充を図る。
イ) テレビスポット放送
広く県民に生涯教育についての理解を深めるため、放送を通じて意識の向上を図る。
(エ) 基礎資料の作成配布
生涯教育に関する教育資源を調査し、事業編、施設編などのガイドブックを作成し配布する。
2) 広域学習事業
県民が生涯にわたって豊かな学習を展開していくためには、学習に対する県民一人一人の主体的なかかわりとともに、学習条件の整備が必要で、県では、三つの講座を企画し学習の機会を拡充するように努める。
(ア) 県民大学中央講座
生活水準の向上や余暇時間の増大、さらに高齢化社会の進行など、社会・経済の変化の中で、県民の学習に対する欲求が高まりをみせてきている。
このような要求にこたえ県民の生涯にわたる学習の機会を拡充するため、県民大学中央講座を実施し、生涯教育の推進を図る。
(イ) 大学開放講座
社会生活の急激な変化に対応しようとする県民の願いは、新しい質の高い知識・技術・教養を身につけたいという要望とな