教育福島0102号(1985年(S60)07月)-047page

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世界の教育は、今。

海外教育事情の紹介

インド・アーメダバードのヴィシャウァブァラティ学校中学三年「理科の実験」

▲インド・アーメダバードのヴィシャウァブァラティ学校中学三年「理科の実験」

百聞は一見に如かず

−インドについて想うこと

一ヵ月にわたる海外視察を終えて考えると宗教の国インド、誇り高い歴史の重みを感じたフランス、広大な自然の中に今なお続く開拓精神をアメリカ・ルイジアナに見た。その中でも今も心に強く残っている国はインドである。

灼熱の太陽、鼻につく異様な匂い。道路にあふれる人の波、けたたましく走り回る車。小陰でぼろ布をまとい寝ころぶ路上生活者。「ワン・ダラー」とバスから降りると群らがる物売りと不具者の物ごいなど。同じ地球上にこのような現実の世界があるのかと目を見張る。

法律の上での身分制度(カースト)は、すでに廃止されているそうだが、いまだ暗黙ながらもインド社会に根強く残っている。

卑下されても、踏まれても自分の生活ペースを守り雑草のようにはい上がろうとする生命力、たくましいまでの生活力に驚嘆した。

インドでの学校訪問では、薄暗い教室にあぐらをかき、乏しい教材教具を分かち合い、子どもたちが真剣なまなざしで学習に取り組む姿、貧しい中にも希望に満ち美しいまでに澄んだ目の輝きは、ふさぎきった私の心を和ませてくれるに十分であり、インドの明るい未来を象徴しているかのようでもあった。

物がはん乱し、物を大切にする心を忘れ、豊かな生活にどっぷりつかり、なにを与えてもあまり感動しない我国の子どもたちと比較したとき、教育の立場にある一人として強く反省させられた。

生活様式、ことばの違いに戸惑い、毎日が緊張と感動の連続であり「百聞は一見に如かず」そのものであった。

(昭和五十九年度文部省教員海外派遣長期三十一団昭和五十九年十一月七日〜十二月六日)

[浪江町立浪江中学校教諭 吉田 規正]

▲アーメダバードの学校の廊下(同校は町のアパートを改造したもの)

▲アーメダバードの学校の廊下(同校は町のアパートを改造したもの)

▲同校でのバレーボール理論の授業(実技は他の施設を借りて実施する)

▲同校でのバレーボール理論の授業(実技は他の施設を借りて実施する)


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