教育福島0103号(1985年(S60)08月)-051page
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世界の教育は、今。
海外教育事情の紹介
▲先生方との交換(ギリシャ・ラリサ第3高校)
「個性伸長」の教育
−欧米の国民性に学ぶ−
ラリサ県(ギリシャ)の生徒達の明るく澄みきった目の色は何なのか。心から私達を歓迎し、一斉に挨拶をする。対話を主体とした授業が始まると自分にも答えさせてと殆ど全員が挙手する真剣さ、先生の質問に長々と答える先徒、いかに考えるかをじっくり問答していく熱のこもった先生、これらがこんなにも強く心を揺り動かすものだろうか。パロマ県(イタリア)の各種多様な職業技術教育、伝統の継承に自信にみちた心のふくらみはどうして培われたものだろうか。アトランタ市(アメリカ)のボランティアの生徒達、ここも見ると熱心に誘導案内する姿、それを信頼の眼差で見守る先生、これらの若々しい態度はどこからくるのだろう。欧米の「個性伸長」主義の教育を眼前にし感動に高鳴った。
ダグラス高校(アトランタ)毎年三〜五のクラブ活動を必修としているが全校で三十四クラブ数のうち三分の一は市民教育のための奉仕活動であった。普通教育と職業教育の拡充をめざし、市内高校間で企業・保護者・学校一体となったキャリアーガイダンス(マグネットプラン)…等草の根の地域あげての教育力を結集した指導に生涯教育の姿を見ることができた。身近かな生活の中で物事を行動的思考によって理解しながら自分達の能力を無理なく伸ばしていく。またその過程で彼らなりの満足感や価値感をもつことができる(デューイ)。
また、訪問先では日本の教育の質の高さ、平和な国情、醇風美俗に熱い好感が寄せられ、その理由が奈辺にありやと問われた。均質な柔構造の社会。伝統的に「和」を価値規範とする「集団」主義教育(社会)の良さも実感することができたのである。
昭和五十九年度文部省教員海外派遣長期三十三団教育事情視察団
[県立安積高等学校教頭 竹岡 惇]
▲歓迎のために集まった生徒達1ギリシャ・ピルケドウ高校)
▲生徒達の実習の料理で会食(イタリア・ホテルマン専門学校)
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