教育福島0105号(1985年(S60)10月)-051page

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海外教育事情の紹介

イタリア・テラモ市、サンニコロ小学校5年生の国語の授業

イタリア・テラモ市、サンニコロ小学校5年生の国語の授業

多い女性教師

−ルーマニア`イタリア・アメリカ−ルーマニアではどの学校でも玄関を入ると正面にチヤシスク大統領の写真が掲額されている。どの学校のどの教室にも必ず前面黒板の上中央に堂々とその顔写真が掲げられているのに驚かされた。イタリアではカリキュラムは勿論、日課表もなく、同学年の隣の学級と教科書も異り、担任教師の指導内容・方法もまるで別々であり、教師の意のままに自由な発想の中で独創的というよりは勝手な授業が展開されているのに肝を冷した。アメリカ合衆国では地方分権が確立し、州によって教育制度もまちまちであるが日本とよく似た学校施設・教育内容、校内生活であり、訪問校

では学校給食をご馳走になってきた。特殊学級が極めて充実しており、個性・能力に応じた教育が徹底しているのに感銘を受けた。

ルーマニアとイタリアの両国とも、学校生活は午前中であり、清掃は管理人が行い、学校給食もない。登下校とも、誘拐防止のため親または家人が朝と昼、学校まで送り迎えを毎日している光景を見て日本の安定した社会秩序・治安のすばらしさを肌で感じた。教師の勤務時間も訪問校はすべて午前中であり、午後は自由であった。したがって、給料も日本と比べ極端に低い。教師として一家の生計を支えることは不可能なので男性教師はほとんど見かけない。両国あわせて九校を訪問したが男性校長はわずか二名、他はすべて女性校長であった。参観したイタリアの教員養成学校では四十五名の在籍者中男性は、わずか二名であり、我々の視察団(男二十女四)に日本の教員男女構成比をしきりに質問された。

アメリカで学校訪問をしたのはマサチュウセッツ州フォールリバー市であるが、毎年担任する学年が固定化・専門化している。例えばある教師は十数年も連続し一年生を担任しているという。逆にイタリアでは小学校五年制であるが訪問地テラモ市では五年間は原則としてもち上り担任である。それぞれがその良さを自信をもって説明しているのを聞き、世界の教育事情はさまざまであり、その国の歴史性や社会性などで教育も多岐に亘っていることを深く感じた。

(昭和六十年度文部省教員海外派遣 長期第7団教育事情視察団)

ニア、ティミショアラ市第22幼稚園の子どもたちが民族衣装でむかえてくれた。

ルーマニア、ティミショアラ市第22幼稚園の子どもたちが民族衣装でむかえてくれた。

アメリカ、フォールリバー市のレトーノ小学校一年生の図工

アメリカ、フォールリバー市のレトーノ小学校一年生の図工


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