教育福島0106号(1985年(S60)11月)-055page

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海外教育事情の紹介

「ゆとりと充実」の教育

−カナダ・イギリス・デンマーク−カナダでは、モントリオール市内の英語系の学校とフランス語系の学校を訪問した。ともに、進路指導と職業教育に力を入れていることが施設・設備の面から感じられた。また、実習に伸び伸びと真剣に取り組んでいる生徒の姿が印象的であった。

イギリスでは、ランカシャー地方のプレストン市内の学校を訪問した。きびしい規律の中にも、教師と生徒の心の交流の場が授業のはしはしに感じられた。校地も広く、樹木も多く、ゆったりとした気持ちにさせてくれるのは、校内の自然環境とも関係がありそうである。ある学校では、パキスタン難民の生徒が全校生の半分にも及んでいるが、人種の差を越え、仲よくともに活動している場面に出会い、また、語学は弱いが、他はイギリスの生徒に負けない位に努力していることを聞いて、嬉しく思った。

デンマークでは、ユトラン半島の中央部、バイレ市内の学校を訪問した。普通教育の学校、身障者のための学校、および、同居の学

校を視察した。特に、身障者の学校では、医師、心理学者、教師がチームワークを保って指導にあたっている実態に触れ、強い感銘を受けた。

学校を訪問したのは三か国であったが、それぞれの国の言語・歴史・文化・教育制度の違いがあるにせよ、授業の中では教師と生徒の心の交流にすがすがしいものを感じた。少人数学級のせいかもしれないが、実に明るく会話も多く、我々が教室を訪問すると笑顔で迎えてくれたことなど、単なる国民性だけではなさそうである。全身を使って指導にあたる教師、質問を通して錬りあげていく教師、実に生き生きとした学習活動を展開していた。どこの学校でも、教師と生徒との信頼関係が大きく、「私の学校には非行ということばは不要です」と校長は胸を張っていう。

ゆとりをもって、一人一人に行きとどいた指導をすることが充実した学校生活の基本をなすものだと感じた。

昭和六十年度文部省教員海外派遣第三団

昭和六十年五月二十二日〜六月二十日

[北会津郡北会津中学校教諭 佐藤 輝雄]

デンマーク、ダムヘーべ国民学校8年生の英語の授業

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イギリス、ガースタング`ハイスクールの静かな校舎

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