教育福島0107号(1985年(S60)12月)-051page

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海外教育事情の紹介

成人教育学校(スウェーデン)

成人教育学校(スウェーデン)

モスト市シュメララ基礎学校の植物の勉強(チェコスロバキア)

モスト市シュメララ基礎学校の植物の勉強(チェコスロバキア)

国際化と生涯教育をめざして

スウェーデン・チェコスロバキア・アメリカ「スウェーデンのような小さな国を支えるのは教育、特に基礎教育の力なのです」と語るブランデリウス語学主事。二十年前の単一文化、単一言語国からの大変革を乗り切った原動力となったのは、外国からの移民を含めた成人への基礎教育の徹底であった。現在成人の三分の一は何らかの教育を受けており、地域社会に根ざした総合制高校のカリキュラムの多様さには驚かされた。

チェコスロバキア・北ボヘミア県ボムトフギムナジウムも、機械、化学等六つの専門コースを持つ総合制高校であったが、専門科目の実習は、すべて近くの工場で行っているということで、卒業の時期を迎え、四年生だちは二日間の筆記試験とその後の口頭試問に備え猛勉強をしていた。アメリカ・ミネソタ州ウィノーナ市は、新しい教育のフロンティアであった。小学校一年からのコンピュータ教育、障害児、才能児を含めた特殊教育、中学校でのカウンセリングの充実、各人の進路に合わせて選択ができる百八十にも及ぶ講座を持つ高校、更に小・中・高校いずれでも、地域社会の人を講師として迎えられる矛軟性のある教員組織等目を開かれるものが数多くあった。訪問を終えて、二人の先生の言葉が耳に残っている。

「一番の弱者に合わせられない教育は、教育という名に値しません」と語るのは、インディアン出身のアメリカの女性教師。一方、「将来ひとりで学んで行けるよう動機付けができれば、教育の使命の半分は果たしたのです」と語るのは、スウェーデンの成人学校の教頭先生である。均質高度と言われる日本の教育が将来辿るであろう姿を見た思いがするのである。昭和六十年度文部省教員海外派遣教育事情視集団第二団〔県立郡山高等学校教諭 久保木 政行〕

ミネソタ州ウィノーナ市の小学校でのコンピュータ教室

ミネソタ州ウィノーナ市の小学校でのコンピュータ教室


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