教育福島0108号(1986年(S61)01月)-057page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育福島0108号(1986年(S61)01月)-057page


 

博物館だより

 

 

放散虫(プランクトン)の化石発見−会津地方の基盤岩調査−

 

会津地方の周辺山地には、会津の土台石とも、言うべき基盤岩が、露出している。県境の飯豊、帝釈山地を構成する岩石がこれにあたり、その他、会津盆地の南・北縁の山地にも点々と分布している。この地層は、硬砂岩、粘板岩、チャート、、石灰岩など、硬質の岩石からなり、それらは花南岩による貫入を受けている。また、一般に地層は高角度で傾斜し、断層・褶曲が発達しており、堆積後の激しい変形を被っていることかわかる。二の基盤岩は、地質構造が複雑で化石の産出も少ないため、その地史については不明な点が多く、これまで一括して、時代未詳の中・古生代の地層として扱われてきた。  

県教育庁文化課文化施設整備室では、この基盤岩のうち、会津盆地南縁にそびえる大戸岳を中心とした地域に分布する地層に焦点をしぼり、そのなりたちを解明することを試みた。野外調査は、昭和五十九年の五月から十一月までの間の延べ三十日間にわたって行なった。その結果、本層より、放散虫という、フランクトンの化、石を発見し、この地層が今から約一億〜2億年前に海底に堆積したものであること、また、地牌の変形の形態を解析したところ、海底地すべりによる変形をかなり被っていることが明らかとなった。今後は、大戸岳地域以外の会津の基盤岩についても同様の調査を継続していく計画である。  

なお、この調査結果は、県立博物館部門展示「県土の形成」で公開する予定である。

 

地すべりにより変形をうけた砂岩・泥岩互層  

地すべりにより変形をうけた砂岩・泥岩互層

 

放散虫化石の電子顕微鏡写真(スケールはO.01mm)  

放散虫化石の電子顕微鏡写真(スケールはO.01mm)


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。