教育福島0108号(1986年(S61)01月)-056page
美術館だより
展覧会案内
「隆成期の世界ポスター展」
エッセン・ドイツポスター
美術館所蔵品を中心に−
会期二月十五(土)〜二月二十二日(日)
何気なく通り過ぎる街角に貼られたポスター、ふと足を止めた経験はありませんか。
ポスターは高度に発達した経済社会における大衆への広報手段であり、同時にポピュラーアートとしての顔を持っています。その時々、その国々の政治、経済、社会、風俗の生き生きとした反応が敏感に、かつ色濃く投影されていて、その意味では、ポスターは時代の顔、証言者であると言えるでしょう。
この展覧会は、今日のように、テレビなどの映像伝達が普及する以前にさかのぼって、ポスター活動がもっとも華やかだった十九世紀末から二十世紀中頃までの世界のポスターを集めたものです。ロートレックや、ミュシャ、クリムト、カンディンスキーなど著名な画家によるものも多く、芸術的にも優れたものです。
今回の展覧会では、ポスター三〇〇余点を単に展示するだけでなく、レーザーディスクによる映像を使って、ポスターの歴史を立体的に構成して、ポスターと共に御覧いただきます。その時代、背景をあわせて写し出すことで、時代や社会のなかのポスターの現実の姿が、新鮮な感動とともに、私達の前に展開されることになるでしょう。
〈料金〉( )内は二十名以上の団体料金
一般・大学生七〇〇円 (五五〇円)
高校生 五〇〇円 (四〇〇円)
小・中学生 三五〇円 (二五〇円)
事業案内
昭和六十一年一月〜三月
◎美術鑑賞講座(六十年度第四期)
○シリーズ 早川博明学芸員
1、 ルネサンス美術
一月十一日(土)
−理想主義芸術の系譜−
2、バロック・ロココ美術
一月二十五日(土)
−絶対王政と市民社会の芸術−
3、十九世紀美術 二月八日(土)
−近代美術の多様なる展開−
4、世紀末と二十世紀美術
二月二十二日(土)
−古典的芸術観の崩壊と現代芸術の誕生−
○仏師運慶 村田真宏学芸員
−鎌倉彫刻の完成−
三月八日(土)
〇絵画の見方 村山鎮雄学芸課長
−デッサンと色彩−
三月二十二日(土)
以上いづれも講義室で
午後一時三十分から 入場無料
◎実技講座 受講者募集中
○ヘラ彫金教室 二月二十三日(日)
〇七宝焼教室(初級)三月九日(日)
〇七宝焼教室(中級)三月二十三日(日)
いずれも午前十時三十分から午後四時まで材料費実費負担となります。
申込は電話で美術館まで。
電話 〇二四五−三一−五五一一
◎拡大常設展(後期)
一月十日(金)〜一月三十一日(金)
◎「美術館への年賀状」展示(無料)
一月十日(土)〜一月三十一(金)
収蔵作品紹介13)
「遠い茜」
太田 正弘作
太田正弘(一九一四〜一九七八)は、大正三年原町市に生まれ、相馬中学校を卒業、昭和十五年東京美術学校日本画科を卒業しました。作品は風景を主題としたものが多く、県立美術館には本作品のほか「北壁」「雲烟の中」「野の冬」「朝暉」の五点が収蔵されています。
「遠い茜」は、荒涼とした田園風景の広がりのなかの冬木立ちと、茜色に暮れる地平線近くの空を主題にした、時の移ろいがみずみずしく感じられる彼の代表作です。
テオフィール・アレクサンドル・スタンラン
「ヴァンジャンヌの殺菌牛乳」
1894 144.0×100.5cm