教育福島0116号(1986年(S61)11月)-010page
拠出金制度に移行したことにより、老人医療費の部分が含まれていないことによるものである。そこで当福島県の老人保健適用者の医療費六億二千八百五十万六千円を加えて比較すると前年比二・九パーセント増の一億三千六百二十九万二千円増となり、従前の伸び率に比べ極めて低い伸び率になっており、老人保健の一部負担(初診時四百円、入院一日三百円二か月限度)の導入による影響であることがわかる。
また、健康保険制度の改革が行われた昭和五十九年十月以降についても、同図でみられるように、本人医療費の定率一割負担の導入との係わりでマイナスの伸びを示し、全体的に鎮静化の傾向がみられる。しかし昭和六十年十月以降増加傾向に転じているのは、一時的なものなのか今後の推移を見守る必要があろう。
なお、制度改革とは係わりなく、毎年同一月に同じようなパターンで増減がみられるのは、長期休業を待っての治療や、冬期間の風邪等による増加によるものであろうか、今後の研究課題として分析を考えているところである。
(2)昭和六十年度における本県医療給付の状況
次に昭和六十年度における福島県と全国平均の医療費を比較すると、一件当りの医療費については、図3−1のとおり本人・家族ともにそれぞれ六百二十一円及び六百四十円福島県が上回り、一人当りの医療費についても図3−2のとおり本人・家族とも六千四百九十三円及び四千五百二十円上回っている。受診率についても同様で図3−3のとおりであり、福島県の医療費は、全国平均を総体的に上回っていることがわかる。これは何に起因するものなのか島県における年齢構成、風土的なものなのか、また医療機関との係りなのか、要因を探ることは極めてむづかしいが、今後の課題であろう。またここにおいて、本人と家族について、福島県及び全国平均とも一件当りの医療費及び一人当りの医療費は家族よりも本人の医療費が高くな、っているが、このことは何を意味するのか、これらを含め今後医療費の 分析が必要であろう。
(3)老人医療適用者にかかる医療給付
(ア) 医療給付の状況
昭和六十年度の老人医療適用者にかかる医療給付は、福島県と全国平均で図4−1・図4−2・図4−3の相違がある。一件当りの医療費(図4−1)は、福島県では千五百七十七円の低額、一人当りの医療費(図4−2)で
図3−1 昭和60年度医療費一件当たりの全国との比較
(単位:円)
図3−2 昭和60年度医療費本人・家族一人当たり全額の全国との比較
(単位:円)
図3−3 昭和60年度医療費本人・家族 人当り受診率の全国との比較
(単位:回)
図4−1 昭和60年度老人医療費一件当たり金額の全国との比較
(単位:円)
※図3−1、図3−2、図3−3の「家族」は、老人医療適用者を除く。