教育福島0117号(1986年(S61)12月)-010page

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とめ、文脈に即した語句指導の視点から教材の分析に力を注いだ。

教材分析にあたっては、次の観点から分析表を作成して進めた。

○形式段落、意味段落のおさえ

○指導語句や文の教材文への書き込み

○要点のおさえ

○文脈に即した語句指導の視点から、重要語句、指示語、接続語、文末表現などの位置づけ

○その他、写真、絵、図表、動作化などの配慮事項

 

(2) 単位時間の基本過程

自力学習と集団学習を重視して、四段階の基本過程をとったが、常に固定化するのではなく、指導の展開により弾力的に扱うようにした。

 

単位時間の基本過程

※低・中・高学年の発達段階による位置づけを考慮する。

※低・中・高学年の発達段階による位置づけを考慮する。

 

(3) 授業を組み立てるにあたって

1) 学習課題の設定

児童の発達段階、教材の取り扱いなどから、一概にパターン化はできないが、実践を通す中で、

・題名読みからの予想や問題

・全文通読からの感想や疑問

・前時の学習から残された疑問

・本時の学習の冒頭段落を読んで

などが考えられた。いずれにしても、児童の疑問や知りたい意欲を大切にし、児童とともに設定する学習課題づくりに努めてきた。

2) 自力学習と集団学習

児童一人一人の活動の機会を多くし、それぞれが能力に応じた読みができるようにしたいと考え、自力学習一一人調べ一を意図的に取り入れた。

また、一人調べで読みとったことを集団で練り鍛え、より深められるようにした。

3) 書き込みとノート指導

自力学習とのかかわりを重視して、文章への書き込みやノート指導を学年に応じて充実するようにした。

4) 音読指導

語句を大事にし、抵抗なく文章を読むことをめざし、指導過程への効果的な位置づけを考慮して指導に努めた。

5) 評価

事前テスト、事後テスト、形成的評価、児童の自己評価、感想など、指導に生かすよう工夫した。

 

(4) 文脈に即した語句指導の実際

 

資料 カブトガニ (四年)

資料は、光村図書四年上「カブトガニ」の第三段落の文章である。

 

資料は、光村図書四年上「カブトガニ」の第三段落の文章である。

この文章では、第一段落にある「めずらしい動物」という言葉を、「大きなひみつ」と結びつけて、より豊かにイメージ化させようとした。

単なる「ひみつ」でなく、「大きなひみつ」であることを、「二億年ものむかし」「ほとんど形を変えることもなく」「生きつづけてきた」などの語句とのかかわりで思考させ、読みとらせた。

また、「二億年もの」とか「こんなにも」という表現から、人類はもちろん、けものも地球上にあらわれない、とほうもない「むかし」であることを読みとることができた。

子どもたちは、「子孫をたやすことなく生きつづけてきた」という表現に出合ったとき、「すごいなあ」という感想をもらし、「めずらしい」という言葉の重みを実感としてとらえたのである。そして、「生きている化石」といわれるゆえんや「天然記念物」に指定されている意味も無理なく読みとることができた。

以上のように、語句を関連的に読む中で、子どもたちは、辞書的な意味を越えた解釈を持つようになってきている。このような学習をとおして、子どもたちの思考活動をうながし、感動的な読みと一緒に、確かに読みとる力を高めようとしてきた。

学ぶ喜びは、関係的な読みとりの中での思考活動と、新しい発見の中から生まれてくるものであり、文脈に即した語句指導に視点をおいた本校の研究の意図は、そこにあるといえる。

 

四 基本的な学習方法の訓練

 

確かに読みとる力を育てるための学習を側面から支え、学習の効率化を図る上から、次のことを実践した。

(1) 基本的な学習のしかたの指導

(2) 音読、読書などの日常実践指導

 

 

 


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