教育福島0117号(1986年(S61)12月)-040page

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研究実践レポート

 

家庭一般における被服制作の効果的な指導法

県北地区家庭科研究グループ

(代表 県立福島西女子高等学校)

 

一、研究のねらい

 

家庭科は、実践的、体験的な教科であるが、「家庭一般」における被服製作の指導は、特に、多くの課題をかかえている。それは、生徒自身が「不器用で上手にできない」、「作ることがめんどうである」、「完成するまでに時間がかかる」など、製作に対して不安と悩みを持っていること。また、一般に持続性、集中力、根気に乏しく、作品を完成することができない生徒もみられる。そのために、学習に興味や関心を失い、意欲的に取り組めないことなどがあげられる。一方、指導者にとっては、被服製作に対する配当時間のゆとりが少ないこと、社会的な情勢である既製服志向の増大に対し、被服製作の必要性と、その価値意識を理解させるための指導上の問題があげられる。

本研究は、このような課題に視点をおき、日常の衣生活に必要な被服に関する基礎的な知識と技術を習得させ、あわせて創造するよろこびと、成就感を体験させながら技能の定着を図りたい。また、将来、合理的な衣生活の経営とその実践力の養成を目、さしたいと考えた。それには、生徒に対して被服製作の興味と関心を高めさせ、「楽しい授業」としての期待と、学習意欲を喚起し、主体的に取り組めるような指導法の工夫が必要とおもわれ、授業の実践を通して研究していきたいと考えた。

 

二、研究経過

 

(一) 県北地区各校より研究委員一名を選出し、研究委員会を構成する。

(二) 昭和五十八年十月より六十年七月まで十四回の研究委員会を開催する。

 

三、研究内容

 

研究をすすめるに当たって、生徒の「被服製作」学習に対する興味や関心の程度、製作意欲、作品の活用法、技能の定着など、さらに衣生活の現状についての意識や、実習に対する考え方を調査して考察し、問題点の把握をしてみようと考えた。また、各校の施設、設備の実態や、指導上の悩みなどの諸問題を検討し、各校の実態に即した授業の進め方を研究し、生徒が主体的に学習するような指導法の工夫を考えて計画し、授業の実践を試みた。

 

(一) 実態調査の結果と考察

 

調査全項目について集計し、分析した結果、特に注目すべきことや、問題点をあげてみた。

まず被服製作の指導に当たり、生徒の衣生活について、実態をみると、「日常着の調整法」は、九十パーセント以上は既製服に依存している。(図1)。その購入に際しては、図2に示されるように、デザインを優先し、機能性や縫製については関心が低調である。

これらの実態からみても被服製作を通して適切な購入のしかたを習得させたい。次に被服製作の興味の程度は、図3のように七十六パーセントは興味を示している。そしてその理由として、約五十パーセントの生徒が完成時の喜びをあげている(図4)。しかし、約二十四パーセントは興味を示さない。その理由は図5にみられるように、製作に対する不安と悩みが如実にあらわれていることに注目したい。次に、将来の被服製作に対する意欲は図6、図7に示すように約七十六パーセントは持っている。そして、それはこの高校在学中に基本的な技術を身につけておくことの必要性をあげている。(図8)

以上の結果に基づき、学習を効果的に進めるには、生徒に興味と関心をもたせ、主体的に取り組む態勢をつくることが必要であるとおもわれ、指導法の工夫に取り組んだ。

 

(二) 指導の実践

 

実践に当たって、各校の実態に即して、指導内容や時間配当、指導上の留意点などに検討を加えて指導計画を立案した。さらに、指導に際しての共通留意事項として「進度表の工夫」、「資料の作成と活用の仕方」、「評価の仕方」、「着装の指導」等をあげ、検討を重ねた。以上の共通理解の基に、各校で実践された指導の事例をあげてみたい。

 

「ジャンパースカート」の製作

 

1) 題材選定の理由

日常着としてのジャンパースカートの製作を通して、衣服を設計製作する基礎的な知識と技術を習得させ、それを日常生活の中で能率的、経済的、美的に応用してゆく態度を身につけさせる。

2) 指導目標

 

 

 


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