教育福島0120号(1987年(S62)04月)-040page

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研究実践

レポート

 

一人一人が生き生きと学習

−算数の指導法の追求−

東和町立針道小学校

代表佐藤啓果

 

−解説−

 

本論文は、昭和六十一年度公立幼稚園・小・中・養護学校教職員研究論文に応募、入選されたものです。

研究主題は「一人一人が生き生きと取り組み、自分なりの考えを深める指導法の追求=関連づけて把握し考えようとする態度の育成=」とし、全教職員が取り組んだ優れた実践研究です。

 

一、研究の趣旨

(一) 主題設定の理由

私たちは、日々の指導体験の中から、「わかりの遅い子、浅い子」を選定、抽出し、その児童の「わかり」を日々の授業の中で保証する指導の視点と方法を追究してきた。

この一連の追究の過程で、本校の児童の学習のしかたや認識・試行のあり方の問題点が明らかになってきた。これらいくつかの課題を整理していくと、受身的な学習態度と論理的思考の不十分さの二点に集約されてくる。そこで自分なりに関係づけた見方、考え方のできる児童を育成したいと考えた。

そこで、算数の指導においても、意味の把握のしかたの確認場面を適切に導入したり、練習、運用場面を設定したり、友人の理解の仕方のモデルを参考にしたり、ペア学習、グループ学習で自分の考えを修正したりすることを通して物事を関係づけて、理解・思考しようとする態度の育成を期待して、本主題を設定した。

(二) 本校における課題

 

本校児童に共通にみられる課題

 

○断片的な知識・技能の習得にとどまり、関連づけて把握したり、使うことが不得手である。(わかりの浅さ)

〇物事を多様な角度から認識することが不得手である。(わかりの浅さ)

〇受身的な学習態度の児童が多く、自らの問題、課題として取り組んでいくことが不得手である。(わかりの遅さ)

 

二、主題解明の手がかりと研究内容・方法

(一)「関係づけ」を重視する学習場面のサイクルを体験させることによって、自分なりに考え、深める態度が形成される。

(二)学習の手びきを作成し、関係づけのサイクルを重視して学習させれば、自分なりに考え、深める態度が形成される。

(三)「考える時間」を重視することによって、自分なりに考え、深める態度が形成される。

 

三、研究の視点

本校では、次のような視点のもとに研究を進めた。

 

(一) 一人一人が生き生きと取り組み、自分なりの考えを持たせる指導過程の工夫

(二) 基礎的基本的な学力を身につけさせる揖導法の工夫

(三) 関係づけて把握し、考えようとする態度の育成

 

この三つの視点を日々の実践に生かしていくために、次のような手だてをとり実践を進めてきた。

(一) 一人一人が生き生きと取り組み、自分なりの考えを持つとは

本校における算数科の学習意欲とは、強い「やる気」に支えられた持続性のある「意志力」を基盤にした行動の現れをさしており、それは問題を解決するためのエネルギー源になり、それが児童の学習活動に持続生や方向性を与えていく重要な要素となる。したがって、算数の授業で児童に要求される意欲は、提示された問題の中に、未解決の問題を解決したいという欲求から自分で学習課題を設定し、解決の過程をたどって、見通しをたてたり、検証の方法を考えたりして解決にせまるために努力を続け、自分で"わかった"というところまで根気強くやりぬく姿である。このような意欲の高まりは、"わかる喜び"から"解決する喜び"へ循環しながら、事象を数理的にとらえ、処理する能力までに育てていくものであると考えた。

 

意志力や、やる気の充実と遂行への意欲性・耐性への深まり

意志力や、やる気の充実と遂行への意欲性・耐性への深まり

 

(二) 基礎的・基本的な学力を身につけさせる指導法の工夫(略)

 

 

 


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