教育福島0122号(1987年(S62)07月)-029page

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二十ページよりの続き

 

なってくる。主な観察項目をあげてみると次の項目があげられる。

・基本的生活状況

食事、衣服の着脱、用便、整理整とん、その他

・性格、行動の状況

対人関係、集団参加、異常行動その他

・学習状況

学習態度、作業態度、教科内容の学習状況、その他

 

(3) 調査・検査

1) 知能検査

知能検査には、団体式知能検査と個別式知能検査とがある。

団体式検査は、知能の程度についておおよその見当をつけるには役立つが知能を詳しく検査することには適していない。心身に障害のある児童生徒に対しては、更に詳しく診断するために個別式知能検査が必要である。個別式知能検査の代表的なものとして、次の二つがあげられる。

・田中ビネ−知能検査

・WISC−R知能検査

2) 諸検査

心身障害児の行動を観察したり、母親等から児童生徒の状態に関する情報を得て、発達の状態を診断し、精神発達の程度を算定する方法がある。代表的なものとして、次の二つがあげられる。

・津守式の乳幼児精神発達診断法

・遠城寺式乳幼児分析的発達検査法

また、社会生活能力の発達を測定するものとして、SIM社会生活能力検査がある。

 

(4) 盲・聾・養護学校への就学手続き並びに年間活動計画

盲・聾・養護学校への就学手続きや就学指導に係る関係機関の年間活動計画をまとめると資料5(30ぺージ)6(31ページ)のようになる。

 

4 保健所、児童相談所等との連携

心身障害児の就学指導に関連をもつのは教育機関だけではない。盲・聾・養護学校在学者の多くは、施設や病院等で生活をしている。

したがって教育措置決定には、施設や病院と十分連携を図りながら進めなければならない。

また、障害の適切な判断には、保健所、児童相談所、幼稚園、保育所等関係者との連携が大切である。

 

三、心身障害児就学指導における課題

 

1 心身障害児の就学指導状況

次の資料は昭和六十年度各市町村における心身障害児の就学指導状況を集計したものである。(昭和六十一年十一月調)

 

(1) 昭和六十年度市町村心身障害児就学指導審議件数

1) 審議件数……二、〇三九件

2) 特殊教育諸学校における教育が適当と判断した件数……一八四件

・特殊教育諸学校に入学した件数……一三五件

・特殊教育諸学校に入学しなかった件数……四九件

※入学率……七三・四%

3) 特殊学級における教育が適当と判断した件数……一、三四九件

・特殊学級に入級した件数……八三六件

・特殊学級に入級しなかった件数……五一三件

※入級率……六二・○%

4) 小・中学校の通常の学級における教育が適当と判断した件数……四九二件

・小・中学校の通常の学級に入級した件数……四八三件

・小・中学校の通常の学級に入級せず特殊学級に入級した件数……九件

※入級率……:九八・三%

 

(2) 就学指導の充実

前述した心身障害児の就学指導状況をみると教育措置についての判断はほぼ適確に行われるようになってきている。

しかし、特殊教育諸学校への入学率(七三・四%)、.特殊学級への入級率(六二・○%)等は決して高い比率とはいえないのである。

特殊教育諸学校への入学、小・中学校の特殊学級への入級をしなかった主な理由を調べてみると大半が養護教育に対する理解が得られていない場合が多い。従って、養護教育に対する理解を深めながら、判断後の就学指導に力を入れる必要がある。

 

2 特殊学級・養護教育諸学校への就学指導

特殊学級・養護教育諸学校への就学指導上最も大事なことは保護者に対して養護教育の理解を深めることであろう。

そこで、心身障害児の特性や養護教育の内容・心身障害児を持つ保護者の心理等について、十分配慮し保護者の不信感を招くようなことのないよう指導助言することが大切である。次のような順序でわかりやすく説明し理解を図ることが大事である。次にその説明内容や説明の順序、教育相談の仕方などをあげる。

 

(1) 心身障害児とハンディキャップについて説明する

様々な原因によって思考・言語・情緒等の精神面で、あるいは手や足


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