教育福島0122号(1987年(S62)07月)-038page

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研究実践

 

豊かなイメージを育成する指導法の研究

 

(図画工作科・絵画領域)

 

会津若松市立城西小学校教諭

 

馬場 泰

 

一、主題設定の趣旨

児童の創造性を伸ばし、造形力を身につけさせるには、・児童の内的な心を豊かにしていくことと、それを表現する力を伸ばしていくことが必要である。

内的な心を豊かにするためには、「よい目、よい耳」を持ち、自分の見たものの中で「ああ、美しいなあ」と思ったところ「ああ、いいなあ」と感じたところなど、なにか心に強くひびいたところを深くよみとらせることが大切である。それによって、子どもは、多少の強弱の差はあるとしても、対象への認識や感動がより強められるにちがいない。その心の動きが絵画表現の意欲をかきたて、主観的印象(その子にしかっかめないイメージの意)をふくらませることにつながると考える。

従って、そのような子ども一人一人のイメージを主とした絵画表現では、主観的印象が絵画の全体的フォルムになり、より個性的な表現活動へと高められていくことになる。

児童の絵画の指導では、その児童の個性的で創造性豊かな絵画表現活動を保障するために「観察力をみがく学習」と、事物を見て「なんらかの主観的印象を心に感じる訓練」が大切になってくる。

以上のような考えから、標記の主題を設定した。

 

二、研究のねらい

この研究では、絵画において心のイメージを豊かにする指導法を究明することをねらいとする。具体的には、描く対象と遊んだり、触れ合うなど、深くかかわる機会を設けた後、意識的に対象を見つめさせようとするものである。描く対象から受けた「印象や感動」を詩的表現や短文に、自分の素直なことばでまとめさせ、イメージの焦点化する手だてを工夫する。このような過程を経て対象を描写すれば、主観的印象の入ったイメージ豊かな表現になると思われる。

豊かなイメージへの流れ

三、研究の仮説

 

三、研究の仮説

対象と触れ合い、よく見つめ、心に感じたことを素直な自分のことばで表現してから描写させれば、豊かなイメージを表現した絵になるであろう。

○豊かなイメージとは

創造力は想像する力に依存している。想像は、頭の中にイメージが浮かぶことによって可能である。イメージは、行為が内面化したものである。受動的姿勢からは、外のものを内にとり込むことができない。能動的に、対象にはたらきかけた(行動した)とき、イメージは定着する。

このことから、イメージに先立つものとして行為がなければならない。イメージ豊かな児童を育てるためには、児童自身が物事に生き生きと取り組むように導くことがまずなによりも必要なわけである。遊び活動こそが児童のイメージを豊かに育てる源泉であるから、図画工作科においても描く対象とよく遊ばせたり、触れ合いの機会を持たせたりすることが、非常に大切になってくると思われる。

 

四、研究の内容

(一)「よい目、よい耳」を持たせるための日記、図工生活スケッチ指導

(二) 児童の表現力の発達段階に即した

・新鮮な題材の発見

(三) 素直なことばの感覚をみがくための詩の鑑賞と創作

(四) 造形の基礎、基本トレーニング

(五) 次の実践題材を中心に研究を進める。

1)自分の上ばき

2)カラスのカンタ

3)物語の絵「八郎」.

4)ガクアジサイ

5)先生

6)立体

7)歩道橋のある風景

8)友だちの横顔

9)秋の木の葉

10)生活画「コークスのストーブ当番」


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