教育福島0125号(1987年(S62)10月)-039page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

努力として、食事に関する心の指導が重要と考える。そこで本校では、残さずに楽しく食べさせる面から、給食に当り「努力する心」「物を大切にする心」「感謝して食べる心」を養う等具体的な指導を掲げ、家庭における食事にあたっても、栄養摂取、つまり食べる側面からの取り組みを保護者に認識していただくよう働きかけている。

 

2、指導の実際

 

(1) 教科等における指導

常時指導を通して、正しい食事のあり方、栄養、健康な体、感謝の心など児童の意識化を図っている。

 

(2) 日常生活を通した指導

◎ 感謝の心を育てる指導

作る人と食べる人との好ましい人間関係の醸成のために、調理員の心のふれあいを心がけている。

「きちんとしたあいさつ」→感謝の心をあいさつで表わそう。

◎ 協力する心を育てる指導

給食委員会児童の自主的な活動の推進

◎ 食事への関心を高める指導

・放送を通して認識を深める。

・栄養士による学級巡回指導。

・掲示による教育。

・おたのしみ献立の実施。

・給食がんばり表(残菜)実施。

◎家庭、地域との連携による改善の

こころみ

・ふるさつづくり、創意を生かした活動における郷土愛の育成。

新入生歓迎会、七夕まつり、「ふるさとおかやま」を歌う、郷土クリーン活動、郷土に親しむ会、なかよしダンス「文知擢音頭」などの全校ダンス

・郷土食の実施

立子山凍豆腐の利用や、県北地方の郷土料理を現代風にアレンジして、子どもの好みに応じた調理の実践(引菜餅)郷土食めぐりの実施(くずゆ、いも煮、ぜんまいのくるみあえなど)。

・我家の自慢料理

給食だよりで募集した料理やPTA料理参加の料理を給食だよりで知らせたり、給食の献立にもとりあげたりしている。

・肥満を防ぐための指導

生活環境からくる健康阻害から本校においても肥満傾向児が年々増加する傾向がみられる。口ーレル指数百五十五以上の児童を対象として取り組み、対象児とその保護者を集め、学校医や栄養士、養護教諭、保健主事、体育主任による健康教室を開設している。

・地場産物による一味ちがった給食の工夫。

既製食品による食生活が広がり児童の野菜ばなれの傾向が児童の嗜好調査からみられる。そこで、地場産物及び有機野菜を利用することによって、安全性を考え、児童の偏食矯正に役立て、しかも郷土の産物に関心をもたせ、ひいては郷土の産業を大切にする心を育てることを期待したい。こうしたことによって「心の栄養」を児童に与えることが出来るのではないかと考える。地元農協などの協力を得て、地元産出の野菜を購入するようにしている。これらの野菜は新鮮で安価であり、栄養的にもロスがなく処理の手間がかからないなど喜ばれている。

また、自分の家の野菜が学校給食に利用されているということで、給食に関心を持ちはじめ、これが家庭との連携にも役立っている。

・手作り凍大根

地場産物の大根で手作り凍大根作りを実施した。児童に目で教え、味あわせて、日本古来の先人の知恵の味を伝承させたい。

 

3、成果

 

(1) 給食指導面から

◎ 給食の運搬、食器の運搬、食器の取扱い、牛乳パックの始末などが適切に行なわれるようになった。

◎ 給食後の十分間の休憩時間の設定により、残菜も少なくなって明るさがみえてきた。

◎食べ物を大切にする気持が表われている。

◎ あいさつの習慣がつき、調理員と子どもの心のふれあいが生まれ、配膳室にくる児童が調理員へ声をかけることが多くなった。

 

(2) 児童の自主活動から

給食を通して、作る人との好ましい人間関係を醸成し、感謝の心を育てることが「心の栄養」になると考える。「みんなで協力して、たのしい給食にしょう」のスローガンのもとに、給食の服装、マナーの学習、一年生の運搬のお手伝い、献立発表、月のめあてと反省の発表などの自主活動が本校の給食の支えになっている。

 

(3) 家庭への影響

学校給食の指導が家庭の食生活そのものにも大きな影響を与え、ひいては家庭の食生活改善につながるものであり、今後より一層内容を充実するための研修や家庭との連携に心がけ「ふるさとづくり」をもりあげたいと考えている。

 

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。