教育福島0125号(1987年(S62)10月)-038page
全に対する意識の高揚を図り、より具体的な実践を通して、研究のねらいに迫ることができるように研究を推進していきたい。
三、学校給食の充実
人間にとって食べることは、体を動かすこと、休養をとること、とともに健康をつちかうことに大きな役割を果しているが、とりわけ成長期にある児童・生徒の心とからだにとっては、より健康を増進するための細かい配慮が必要であります。
学校教育の中にあって、学校給食はこの“食”という人間の基本である生活の要素を通しての自然な形で、一週間の学校教育の中でいちばん時間をかけ、ふれあう機会となっており、全人的な教育の場であるといっても過言ではありません。
次代を担う児童・生徒を健康でたくましく生活力のある人間に育てるため、楽しさと一方では互いに尊重しあう厳しさの両面を兼ね備えた「学校給食」を大切に育てることが関係者に課せられた責務であります。
1、学校給食の位置づけ
学校給食は小学校と中学校における食生活に関する教育活動として重要な部門を占めています。学校給食に関する指導と活動は、現行の小学校および中学校学習指導要領で、特別活動の領域(表7)に示すように位置づけられています。
小学校の「学校給食の指導」は、学級指導において「食事の正しい在り方を体得させるとともに、食事を通して好ましい人間関係を育成し、児童の心身の健全な発達に資することをねらいとし、正しく、楽しく食事をすることについての指導、給食時の清潔や環境の整備についての指導を行う」ことをねらいや内容にしています。
また、中学校の「学校給食指導」は、学級指導の項目「健康で安全な生活などに関すること」の中に「望ましい食習慣の形成、好ましい人間関係の育成などをねらいとして、心身の健全な発達に資するよう配慮して指導することが大切である」としています。
2、学校給食の特性
学校給食は、児童・生徒に栄養のバランスのとれた食事を教育的に提供することであり、このことによりすべての児童・生徒の健康の増進、体位の向上をはかろうとするものです。
およそ健康も体力も幼少期からの長期にわたる合理的な栄養摂取と適切な身体的訓練の実施及び適正な健康管理によってつくられます。すなわち、運動、保健、栄養等に関する諸活動が総合的、有機的に行われてはじめてその実効が期待できるものであり、学校給食はこれらの教育活動の一環として行われるものであります。
さらに、学校給食は学校で食事をとることにより、児童・生徒に良き食習慣を身につけさせるとともに社会的経験を深め、好ましい人間関係の育成をはかるものであります。すなわち、学校給食は、栄養のバランスのとれた食事を提供するばかりではなく、教師と児童・生徒が食事をともにすることにより、相互の人間的接触を深め、学校生活を明るく豊かなものとするものであり、人間形成上きわめて大切な指導の場となっています。
3、学校給食指導の実際
学校給食について効果的な指導を行い、充実した教育活動を展開し、その実を挙げるために学校では種々の工夫が重ねられています。それらの学校の研究・実践例について紹介します。
食事を大切にする心を
もつ、元気な子どもを
育てる給食指導
福島市立岡山小学校
1、給食指導の取り組み
元気な子どもを育てるための具体的
表7 特別活動の内容と学校給食
〔注〕小学校および中学校学習指導要領第4章特別活動に示されている内容のうち、学校給食に関連のある項目を表示した。