教育福島0130号(1988年(S63)04月)-046page

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研究実践,

レポート

 

児童一人一人が楽しく主体的に学習する手だて

−公立幼稚園・小・中・養護学校教職員研究論文−

 

−解説−

 

ここで紹介する二つの研究実践は、昭和六十二年度県公立幼稚園・小・中・養護学校教職員研究論文の入選論文である。

白根小学校の渡辺英司教諭の研究実践は、「国語教育の活生化を図るために、音読・朗読を取り入れた指導はどうあればよいか」−パソコン・VTR等の教育機器を活用して〜をテーマに取り組んだものである。

児童一人一人が楽しく学習し、確かな学力を身につけるため、音読・朗読を積極的に取り入れたり、また、情景を豊かに想像させるためにパソコンを活用したりするなど、国語教育の今日的課題を積極的に解明しようとしている。

また、謹教小学校の赤城毒彦教諭は

「個人学習を生かして、学び方を身につけさせる社会科学習」をテーマとして研究実践に取り組んだものである。教師の一斉指導になりがちな社会科指導を児童一人一人が主体的に課題を持ち、追求する過程で、資料活用能力の育成をはじめとする学習の仕方を身につけさせていくことをねらいとしている。

二つの実践例とも、国際化、情報化に対応し、自己教育力の育成が叫ばれている今日の教育課題を主体的に受けとめたすぐれた研究実践例である。

 

国語教育の活性化を図るために、音読・朗読を取り入れた指導はどうあればよいか。

−パソコン・VTR等の教育機器を活用して−

 

梁川町立白根小学校

教諭 渡辺 英司

 

一、はじめに

 

最近、活生化という言葉を多く耳にする。活生化とは、単に興味に支えられた一時的なものではなく「意志力」を基盤として、持続生や方向性を持つものであろう。つまり、児童自らが進んで学習に参加し、途中で投げ出すことなく、自らが設定した課題をやり遂げるまで持続する力を伴うものであろう。

そこで、学習指導要領や本校の教育目標、学級の特質などを関連させ、「児童一人一人が主体的に読み取りを進められる指導過程や授業展開を工夫し、作品の持つイメージを、正しく豊かに膨らませるための活動をさせれば、それを表現しようとする意欲を喚起し、積極的に音読・朗読に取り組むだろう」という仮説のもとに、研究を行ってきた。

 

二、研究の実際

 

(1) 活生化についての理論研究

(2) 話し合いを活発にする集団づくり

(3) 音読・朗読を取り入れた活生化

1)音読・朗読を核とした指導過程

物語教材を中心に、音読で読み取り、音読で深め、朗読で表現することを指導過程に位置付けた。その結果、教師側から「受け取る」という静的な学習ではなく、音声表現で「つくり出す」という動的な学習形態となり、国語学習をおもしろいと感じる児童が確実に増えてきている。また、毎時の授業でも、導入の段階を微音読から始め、児童の音読の状況を机間巡視しながら確認した後、読み深めの段階やまとめでも音読を活用し、理解と表現を繰り返しながら主題に迫る授業を展開した。その結果、一人一人の音読の力や主題を読み取る力が着実に向上してきた。

2)音読・朗読に取り組む環境づくり

児童一人一人に一本ずつカセットテープを配布。家庭のテープレコーダで音読を録音させ、それを、毎朝全員で聴くようにした。その結果、一字一句を正確に読もうとする態度や、アクセント・抑揚に注意しようとする姿勢が見えてきた。しかし、録音は音量を必要としないと考え、マイクを近づけて、ボソボソと音読する児童が出てきたため、声の響きに違いがあることを示唆し、発声練習と合わせながら、共鳴腔を使った発声を練習させた。また、試聴コーナーを設け、全員のテープや

 

 

 


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