教育福島0130号(1988年(S63)04月)-047page

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範読テープを自由に聴けるようにした。

3)基礎となるイメージ化の研究

(ア)読みを深める課題や発問の工夫

課題によって、児童の取り組みは明らかに違う。そのために、児童自らが課題を設定するよう、研究を進めてきたが、課題作りを児童にゆだねた場合、読みを深める課題に至らないことが多い。そこで、初発の感想一初読後・場面ごと)を分析し、それを基に児童の興味や関心・疑問を十分考慮した課題を工夫した。また、本時のねらいから何を引き出すかを考え、中心発問と補助発問を用意し、なるべく児童の言葉から発展していくように助言を加えた、その結果、一人の児童の意見に付け足す発言が増え、活性化が進んだ。

(イ) 文章に即した場面のイメージ化

場面や情景のイメージ化を進めるために、これまでは絵画化を中心とした指導をしてきた。しかし、これは時間と労力がかかり過ぎるうえに、一度描いたものは修正が難しい。そこで、人物(動物)や風景をVTRから転写できるコンピュータの機能を活用し、修正を加えたTV画として絵画化した。その結果、問題点と予想していた機器の操作は、さほど抵抗がなく、時間も十五分程度で仕上がるほか、修正も容易で、読みが深まるにつれ、その場で修正することもできる。このことにより、文章に即した情景のイメージが、より正しくとらえるようになった。

その画像を活用し、登場人物になったつもりで吹き出しを考えたり、心情を考えさせたり、会話文を音読させたりもしている。画像を活用しない場合よりも活発な反応があり、下位児でも友だちのまねでなく、自分の考えを述べることが多くなった。

(ウ) 個別化・意欲につながる評価

教師が記す評価カードと児童相互で記す評価カードを作成。観点を定めて実施した。教師用は毎時間、確かめ読みの段階で活用し、児童用は朗読発表などで活用した。その結果、望ましい朗読のしかたがはっきりし、個々の児童がそれぞれのめあてをもって取り組めるようになった。しかし、強弱などの、評価がはっきりしないものも多い。具体的な場面での取り上げ指導を多く行うことにより定着させる必要がある。

4)音読・朗読の基礎となる言語指導

(ア) 発音・発声に関する指導

音読・朗読の最も基本となるものは「はっきりした発音、正しい発音」を底辺とした音声指導である。本校の児童は、地域的な環境もあり、口形がはっきりせず、口ごもる傾向があった。そこで、鏡を見て、自分の口形と絵や写真を比べながら練習をすれば、もつと効果があがるのではないかと考え、全校一斉に練習できるTV番組を作成した。この番組は、口形を意識させることが特に重要であるため、口形の画像と練習のための例文を、同時に表示することが望ましい。そこで、コンピュータの持つグラフィック機能を生かし、児童が最も身近に感じる本校職員の口形をデジタイズした画像とテロップで例文を流すことによって、その条件を満たした。実施後の児童の反応は、予想以上に大きく、口形が発音の基になることを認識し、自分の口形に注意を払うようになったことが、全学年にわたって多く聞かれるようになった。また、放送前に比べ、はっきりと口を開けるようになったことが、各学年の担任から報告されている。

(イ) 語句の理解と拡充に関する指導

学習した語いを生活の中で活用できるようにするために、毎日の旦記に必ず使用し、習熟を図った。このことにより、既習の語句が確実に身につくようになっただけでなく、授業時には発見できなかった言葉の使い方のあやまりが発見できるようになり、着実に力をつけてきている。また、活用されにくい慣用句、ことわざなどは、コンピュータソフトとして、データを管理し、ゲーム化してその習熟を図っているが、まだ、登録数は少なく機会あるごとにデータ入力を続けている。

(ウ) 文章構成に関する指導

文章構成に気付くうえで重要な接続語・指示語・句読点などは、説明と問題で構成したコンピュータソフトを自作し、児童が自由に学習できるように視聴覚室に常備し、そのドリル的活用を図っている。しかし、前述した語い

 

児童が作成したイメージ画〈大造じいさんとガン・第二場〉

児童が作成したイメージ画〈大造じいさんとガン・第二場〉

 

情景の説明……操作も児童が行う

情景の説明……操作も児童が行う

 

 

 


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