教育福島0130号(1988年(S63)04月)-049page
(二)学習の手引き、個人学習資料の作成
学び方を身につけさせるために、社会科学習のしかた(単元、単位時間の流れ)、個人学習のしかた、課題づくりのしかた、資料の見方、話し合いのしかた、ノートの取りかたなどをもりこんだ学習の手引きを作成し、児童に与えた。
また四種類の学習資料を作成し、児童が主体的に調べることができるようにした。
(三)単元のガイダンス
単元の学習内容についての興味・関心を持たせ、学習意欲を高めるとともに、単元学習への見通しを持たせるようにした。
(四)学習訓練を組み入れた授業実践
毎時の学習過程に、学習訓練を意図した個人学習の場を設定し、児童に取り組ませることによって、基礎的な学習技能が身につくようにした。
以下、「わたくしたちの生活と水産業」における授業実践の一部を紹介してみたい。
○ 単元の導入で
「水産物は重要か」という問いかけでガイダンスを行った。夕食のメニュー、水産物の摂取量グラフなどから、はじめは、「魚なんかいらない」といっていた児童もその重要性に気づき、課題づくりや個人学習に進んで取り組んだ。
○ 単元の展開で
この段階では、一単位時間一サイクル的な授業展開を行い、とらえる(課題づくり、予想) つきつめる(検証) まとめる(発展)のパターンを継続しながら、課題設定、資料活用、話し合い、ノートの取りかた。などが身につくように配慮しながら実践してきた。
次に、学び方の指導が生かされてきているかを確認するために設定した授業のようすを述べてみる。
〈第七時「魚種と漁法」から〉
◎ 調べる視点
水揚げされる魚、量、場所、方法、魚の生活などの調べる視点や内容のほかにグラフ、表など方法的な視点も出された。
◎ 資料の見方、話し合い
グラフ、表、地図から読み取り、積極的に話し合った。
◎ 発表のしかた
黒板を使っての発表にも意欲的になり、活気にあふれた。
展開段階の実践を通して
・ 学習のしかたがっかめてきた。
・ 資料の読み取りに時間はかかるが、その方法がとらえられてきた。
・ 話す、書くことへの抵抗が少なくなってきた。
という傾向が見られた。
○ 単元の終末で単元のまとめとして、「日本の水産業の将来は」という討論会と水産業新聞づくりを行った。
水産業新聞づくりに対しての指示は
・ 構想メモをつくる
・ タイトルは見やすくする
・ 絵やイラストを生かすである。じょうずとは言えないまでも、どの児童も楽しく作っていたことが印象的であった。
五、研究の成果と今後の課題
(一)成果として
○ 学習のしかたがわかり、見通しを持って学習するようになってきた。
○ 資料活用をみるテストで好結果をおさめたことなど、資料を読みとる力がついてきた。
○ 計画表を見る、図書館を利用するなどの好ましい様子が見られた。
(二)課題として
個人学習を更に生かすための手だてを工夫し、個性的な社会科学習ができるようにしていきたいと考えている。
表2 指導案〈第7時「魚種による漁法の違い」の授業から〉 (5年)
第7時「魚種による漁法の違い」の授業風景