教育福島0134号(1988年(S63)10月)-040page

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研究実践

レポート

 

小集団による話し合いを生かした

楽しい道徳授業

金山町立第一中学校教諭

滝澤玲子

 

本論文は、昭和六十二年度公立幼稚園・小・中・養護学校教職員研究論文に応募。道徳教育を授業実践を通して研究し、優れた論文として入選したものです。

 

一、主題設定の理由

道徳の時間が深まりがなく味気のないものになっている理由の一つに、教師主導の授業によって生徒が価値について主体的に考え、自ら高まろうとする学習に取り組めないことがあげられる。裏を返せば、教師の「道徳の時間とは何をする時間か」についての認識が不十分であるということも言える。

実際の授業展開の場面で、生徒が既に認識している価値について、分かりきった発問がなされ、生徒が形式的に受け答えるといった深まりのない授業がまま見られるというのも現実である。

生徒の道徳性の実態把握や資料の選択・分析の必要性は言うまでもないが、指導過程や指導方法の固定化も道徳の授業を深まりのないものにしている大きな理由である。そこで、生徒が既に持っている価値を資料によってより高める段階において積極的に小集団学習を取り入れ、生徒一人一人が楽しく学習に取り組み、互いに価値についての認識を深め合う道徳の時間を目指し、実践をしてみた。その概要を以下に述べてみたい。

二、小集団による話合い

小集団による話合いの一般的な意義として、次の二つを取り上げてみた。

・集団の高まりが期待できること。

・生徒が発言をしゃすくなること。

道徳的価値は、教師によって教え込まれるものではなく、価値認識が高まるには、学級内での話合いが必要である。生徒は話合いによって道徳的発達への刺激を受け、これに反応することによって心が揺さぶられることにより道徳的実践力の育成が期待される。

三、研究仮説

(一)自分の考えに基づいて発言し、級友の意見から学ぶことができる小集団による話し合いの場を設ける指導過程を組めば、価値をみがき合い、道徳的実践カを育成することができるだろう。

(二) 小集団による話合いを生かせば、生徒の身構えをなくし、平素の考えができる生徒主体の楽しい時間にすることができるだろう。

四、研究の内容

(一) 話合いのできる学級づくり

小集団による話合いを有意義にするためには、まず生徒一人一人が自分の意見を持つことである。そのために、自分の意見を書いたり、発表したりする機会と場を次のように設けた。

1)日記を書く

2)学級通信の生徒欄に意見を書く

3)一日の反省を帰りの会で発表する

4)自分の不利益を訴える

また、学級経営の中で、話合いの機会を多く設け、そのトレーニングに努めた。

1)話合いのルールを知る

2)学級会や学級指導で話合いをする

3)生活の点検目標を話合いで決める

4)日直の活動を話合いで逆点検する

5)追求の話合いをする

(二) 小集団による話合いを生かした授業

1 指導過程

導入では、資料を与え、問いを提示し、生徒一人一人に自分の意見を書かせる。展開では、小集団の話合いで価

 

 

 

 

 


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