教育福島0134号(1988年(S63)10月)-051page
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世界の教育は、今。
海外教育事情の紹介
宗教と共に発展した学校教育
オーストリア
学校訪問地クレムスは、オーストリア北部を西から東へ流れるドナウ川の左岸にあたり、ウィーンの北西に位置し、人口約二万人の教育都市である。十世紀以来の旧市街とそこに続く新市街、そして、全体をとり巻くようにブドウ畑が一面に広がっている。旧市街の学校は教会と併設されており、宗教と共に学校教育が発展したことを物語っている。
明るく元気な子どもたち
授業を参観して
小学校はどのクラスも二十人程で、小人数学級の良さを生かした授業が多く、児童の考えをとても大切にしていた。一週間の授業時数が満たされれば、一時間の中で複数教科を組み合わせてもよく、児童の様子を見ながらOHPを利用し.転換させる工夫がみられた。小学校から外国語(英語)に力を入れており、話せる英語をめざしていた。文法などのこまごましたことではなく、ロンドンの市街をスライドで映し、道を尋ねたり、建物を説明する基本文をくり返し発音させ指導していた。中学校では、私たちが訪問すると、まず、、バイオリン、チェロ、ビオラの三重奏で大歓迎してくれた。ドイツ語、英語、数学は能力別にクラス編成されており、学年が進むにつれて進路が決定されるが、生徒には動揺はない。十四歳までは週二時間の宗教教育の時間があり、牧師さんによる授業も行われており、宗教教育によって社会性、道徳性、人間性が高められていることを強調された。校長の話の中で、「教師に自由があれば、子どもにも自由がある」「オーストリアで日本に輸出できるのは、音楽とワインだけである」とい「う言葉が印象的であった。
おわりに
一か月にわたり、オーストリア、スペイン、アメリカの学校を視察する機会に恵まれたが、いずれの国の学校も日本に比べると、校庭や体育館も狭く、教育機器の施設や設備が見当たらない。しかし、各国教師の教育にかたむける情熱はひしひしと感じとれた。
昭和六十二年度文部省海外派遣長期第三十一団田島町立◆沢小学校 教諭 月田 敏雄
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