教育福島0137号(1989年(H01)02月)-002page
文化の窓
県立博物館 平成元年度第一回企画展(予定)
縄文の四季
会期四月十八日(火)〜六月十一日(日)
縄文時代は今から約一万年前から二千三百年前まで続いた主に採集、狩猟、漁撈に基礎を置く生活が営まれた時代です。今回の展示では縄文時代の中でも特に終末の時期「晩期」に焦点を当てます。
縄文時代晩期には、東日本を中心に「亀ケ岡文化」と呼ばれる特異な文化が知られています。極めて精巧な土器、さまざまな宗教的な遺物は、縄文人の技術の高さを教えてくれます。これらの資料をもとに縄文時代の生活の全体像を描こうというのが今回の展示のねらいといえます。主なテーマは次の通りです。
(一)縄文人の食べ物
米を作らない縄文人が何を食べたかを明らかにします。トチ、クルミなどの植物質の食料、さまざまの魚貝類、イノシシや鹿の肉など四季に応じた食べ物があります。皆様の食卓と比較されてみてはいかがでしょうか。
(二)縄文時代の諸工芸
亀ケ岡文化の工芸品を集成します。特に世界的にみても高い技術的水準にあるとされる漆製品をできる限り展示したいと考えています。
(三)死、再生、祈り
縄文人の墓地や、宗教的な遺物から、精神生活のあり方をさぐります。その中でも約百体もの埋葬人骨が発見された新地町三貫地貝塚の資料が中心となります。また特殊な形状を呈する遮光器土偶、見事に研磨された石棒などから、縄文人の厚い信仰心を窺うことができます。
縄文時代というと遠い昔のことのように思われますが、縄文人は私たちの直接の祖先で、彼らの生活内容は現在の私たちの生活に少なからず影響を与えています。彼らの知恵や工夫は私たちを驚かせるとともに現在の私たちの生活の中にも生き続けているといえます。
台付浅鉢形土器(新地町三貫地貝塚出土)
人骨出土状況(新地町三貫地貝塚)
遮光器土偶(岩手県岩手町豊岡遺跡出土)