教育福島0138号(1989年(H01)04月)-011page
初任者研修制度を創設することとし、その在り方を具体的に研究するため初任者研修の試行を行うこととしました。
全国では、昭和六十二年度には、三十六都道府県・政令指定都市、昭和六十三年度においては、全都道府県・政令指定都市において試行が実施され、本県においても昭和六十二年度、六十三年度の二年間にわたり、試行を実施しました。
一方、昭和六十三年五月には、教育公務員特例法等の一部を改正する法律が成立し、平成元年度より初任者研修制度が校種別に段階的に実施されることとなりました。
一、初任者研修制度の意義・目的
教員に必要な資質・能力について教育職員養成審議会答申は、1)教育者としての使命感、2)人間の成長・発達についての深い理解、3)幼児・児童・生徒に対する教育的愛情、4)教科等に関する専門的知識、5)広く豊かな教養、6)これらを基盤とした実践的指導力をあげています。即ち教員は、豊かな人間性と深い専門性を備え、その上に立った実践的指導力を持つ必要があることを述べています。このような資質能力は、大学の養成課程のみによって完成するのではなく、教職にある期間の全体にわたってのたゆまない研修によって形成されるものです。その中にあって新任教員の時期は、大学における理論と学校現場における教育実践とを結合・発展させる最初の段階です。具体的に教育活動を行うための実践的指導力を身につけるとともに、当面する課題を究明し改善策を工夫していく、教員としての欠くことのできない能力を養う大切な時期です。この時期の過ごし方いかんがその後の教職生活全体に大きな影響を与える重要性を持っています。
しかも、新任教員は、経験豊かな教員と同様に、直ちに児童・生徒の教育を担当することになります。円滑に教育活動に入り、可能な限り自立して教育活動を展開していく素地を作ることができるよう、できるかぎり実務に即して組織的、計画的な研修を実施することが必要不可欠です。
この場合、新任教員の自己啓発意欲と努力を基本としつつ、経験豊かな指導者の系統的な働きかけや援助が大切であることはいうまでもありません。新任教員は、学校全体の支援を背景としながら、優れた指導者の下で適時、適切な研修を愛けながら教育体験を深めることによって教育力を飛躍的に向上させることができるものと考えます。
このような趣旨から初任者研修制度は創設されたものであり、新任教員に対して、実践的指導力と使命感を養うとともに幅広い知見を得させることを目的としています。
二、初任者研修試行の結果
1 試行実施校及び対象教員数
2 指導教員配置数
3 試行実施市町村教育委員会
昭和六十二年度〜十六教育委員会
昭和六十三年度〜二十六教育委員会
4 研修体系について
(1) 指導教員等による指導
授業参観指導、研究授業指導、生徒指導に関する指導、教材・教具等の活用指導、校務処理の指導、学校教育全般の指導を指導教員を中心として年間七十日程度の指導をした。
(2) 教育センター等研修
授業研修、青少年保護育成施設視察、へき地学校・養護学校参観、郷土理解、企業研修、研究発表集会等研修、ボランティア活動等を県・教育事務所、市町村教育委員会が実施主体となり、年間三十日程度(宿泊研修を含む)の研修を実施した。
(3) 宿泊研修
教員の心構え、学習指導、各教科の実技・演習、野外活動の方法と実際等を県が実施主体となり、四泊五日程度の研修を実施した。
(4) 洋上研修
文部省の計画により、試行対象教員の一部を参加させ、船上での研修、寄港地活動を十一日間実施した。
5 試行の結果
(1) 指定校及び対象教員の配置について
二か年にわたり、各校種とも多様な規模等の学校を指定し、本格実施に備えた様々な状況での試行が行われ、かつ、対象教員についても一人配置校から三人配置校まで、各指定校の実情に応じて配置された結果、研修の進め方、校内協力体制の在り