教育福島0139号(1989年(H01)06月)-037page

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次の点に留意する。

○ 行事を生徒の自治活動ととらえ、生徒を主体的に行事に取り組ませる。

○ 生徒の創造力を引き出し、質的に高いものにする。

○ 学級や生徒会という生徒集団の自治理念を表現する種目を実施する。

5)研究方法

○ 体育祭への参加

体育祭の運営は次のような方針に基づき行うものとする。

・ 参加して楽しかった、やってよかったと思える行事にする。

・ 生徒たちが協力できて何かが達成できる、感動的なものにする。

・ 種目構成は団体競技のみとする。

・ 各ホームルームでクラス旗をつくる。(コンクールの実施)

・ 運営や諸準備をなるべく生徒主体でやる。

○ 校内球技大会への会員参加の工夫(紙面の都合で詳細は省略する)

3)研究の成果と今後の課題

校内球技大会と体育祭において、実施方法やルールをホームルームにおろして討議させた。

この結果、生徒には、自分たちの行事という自治意識も高まり、選手や係員が集団の一員として従来より自発的に責任を果たし、能力を発揮しようとする意欲がうかがわれた。

生徒が自分たちの力に感動したり、誇りさえ感じたことは、今後の生徒指導にひとつの示唆を与えるものであった。

 

学習

 

(一) ノート指導による授業の活性化

1 研究の見通し

教師からのアプローチの工夫により、生徒の授業への関心を高め、授業態度の向上と学習活動の活性化を図る。

2 研究方法

生徒がノートをみて授業を理解できるように、教師が教材や板書事項を工夫する。新入生に対しては、国語、数学、社会、英語の学習について指導し、その中で具体的・実際的なノートのとりかたを指導し、特に次の点に留意する。

(1) 成績不振者については、授業の中で直接指導する。

(2) ノート提出の機会を増やし、励ましの言葉を書き添えたり、簡単な評価を記入してすみやかに返却する。

(3) ノート点検等により授業への参加意欲を評価する。

3 研究の成果と今後の課題

ノート指導を通して、生徒の学習活動の基盤を作り、授業の活生化を目指した結果、次のような成果があった。(1) 授業を受ける態度が真剣になった。(2) 知識の整理の仕方に工夫が見られた。(3) 学習に意欲的・積極的に取り組む生徒が見られるようになった。課題として、学年進行に伴いノートの取り方が粗雑になる傾向にあるので、望ましいノートの取り方を定着させていきたい。

(二) 課題による家庭学習

1 研究の見通し

家庭学習の面から生徒のより自主的な学習態度を育成するため、長期休業期間の課題とその確認テスト及び土曜・日曜日の課題を活用する。

2 研究方法

(1) 長期休業期間の課題とその確認テストの実施

夏季及び冬季休業に各教科一英・数・国・理・社)ごとに課題を与え、休業終了後に確認テストを実施する。各学年で成績を処理し、組担任が進路相談カードに成績を記録する。

(2) 土曜・日曜日の課題

学年共通の課題を出すことにし、六十三年度第一学年で毎週土曜日に組担任を通して宿題一初級英語のプリント一を課す。生徒は毎週月曜日に提出し、担当教師は添削し、解答プリントをつけて返却する。

3 研究の成果と今後の課題

約七割の生徒は、多少の差はあるものの毎日家庭での自主学習を行った(休業中)。また、土曜日の課題では、八〜九割の生徒が提出している。その結果、授業が受け易くなったと受けとめている生徒が多くなった。(三) 一斉小テストの実施(略)

八 最後に

この二年間の研究実践の成果として次の二点をあげたい。

その第一は、研究実践を通して職員が生徒指導について理解を深め、生徒指導にあたって、より一層緊密な協力体制を築くことが出来たことである。毎朝休みなく続けている登校指導や、教育相談旬間中の職員室における教師の生徒への積極的な働きかけ等はその良い例であり、そのような熱意によってのみ、生徒の変容は期待できるものと考える。

成果の第二は、生徒の行動面での変容である。それは次の三点にまとめられる。

(一) 教師の積極的な働きかけにより、生徒の多くはすすんで自己の服装や生活の見直しを図り、内郷高校生としての自覚と誇りを持つようになつた。

(二) 各種行事においては、主役として行動する場を与えられ、責任を自覚するにつれて、自主的に行動し、仲間とのふれあいを通して好ましい友人関係を築いた。

(三) 身近な学習活動により、充足感を得て、学習意欲も高まり、授業に臨む態度にも真剣さが増し、授業に集中する時間が長くなった。今後は、職員間の連携を深め、教師自らの生徒指導の力量を高める相互研修の方策を検討したい。


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