教育福島0139号(1989年(H01)06月)-042page
研究実践
レポート
授業における個別化の工夫 −数学−
本宮町立本宮第 中学校
教諭 矢吹公夫
一、主題設定の理由
授業において、基礎的・基本的内容が生徒一人一人に身についたことを『学習が成立した』ととらえるならば、教師は、このことを踏まえながら生徒一人一人の学習スタイルの違いを考慮したきめ細かな指導を行う必要がある。そこで、個に応じた確かな学習の成立を図るための学習指導の在り方を追究するため、本主題を設定した。
二、仮説
学習過程において、次の事項を意図的に組織すれば生徒一人一人に確かな学習が成立するであろう。
1 一人一人を生かす工夫をする。
2 個人差を配慮する。
3 学習形態を工夫する。
4 評価を生かす。
※具体的な実践事項
(1) 一人一人を生かすために
○ 発表の機会を与える。
○ 活動の場を与える。
○ 賞賛して意欲を高める。
〇 一人一人に合った課題を与える。
(2) 個人差に対応するために
○ 課題の与え方を工夫する。
○ 発問の仕方を工夫する。
○ 教材の工夫
(3) 学習形態の工夫
○ グループ学習の中で活動できる場を設ける。
〇 一人一人で活動できる場を設ける。
〇 全体の中で活動できる場を設ける。
(4) 評価を生かすために
○ 形成的評極を実践する。
○ 診断的評纐を実践する。
○ 自己評価を生かす。
三、研究の概要
1 学習計画表の活用
授業において、前時から口頭で学習のめあてを知らせておき、本時にもそれを再確認することにしていたがよい反応が得られないでいた。このことを克服するため学習計画表を授業の中で意図的に活用することにした。この表を用いることにより生徒一人一人が学習のめあてをしっかり把握し授業に臨めるようになるとともにレディネスも高められると考えた。
結果として、自ら課題意識を持って授業に臨む生徒が多くなり、継続意欲も高められ、自分の考えを積極的に発表する生徒が以前の授業よりも多く見られるようになった。また、導入→展開→終末の指導過程において展開段階で十分に時間を確保することができるようになった。
2 個別化の工夫
生徒一人一人の個人差に応じるためにコース別学習を指導過程の中に意図的に位置づけ実践した。
これは、ある内容を学習した後、形成的評価によって把握した理解の状況や習熟度などを考慮しながら一人一人に合った課題を選択させ学習させる方法・形態である。
実施に当たっては、能率的にコース別学習が行えるよう資料1にある学習プリントを用いることにした。また課題は、基礎的なもの、標準的なもの、応用・発展的なものを予め実態を考慮して作成しておくことにした。そして、それぞれの課題を選んだ生徒同士で相互評価させるとともに基礎的課題を選択したグループについては個別指導など直接指導する機会を多く持つようにし、解答はそれぞれのグループの代表の生徒に発表させ全体で確認するよう
資料1 コース別学習プリント
=第5章 平行と合同= 学習プリント No.1