教育福島0140号(1989年(H01)07月)-009page

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別活動の指導をするよう努力することが大切である。

今回の改訂においては、これからの社会の変化に対応して主体的に生きる人間の育成を図るため、道徳教育を一層重視し、次の点が強調された。

 

(1) 道徳の内容の再構成

道徳の内容については、

1)主として自分自身に関すること

2)主として他人とのかかわりに関すること

3)主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること

4)主として集団や社会とのかかわりに関することの四つの視点から再構成した。

これは内容相互の関連性を明確にし、道徳の内容の全体像を明らかにすることにより、指導の視点を明確にし、指導の充実を意図している。

(2) 道徳の内容の重点化

現行では、小学校では二十八項目、中学校では十六項目の内容をすべての学年で指導することになっているが、児童生徒の道徳性の発達等に応じて、重点化を図った。即ち小学校低学年ではしつけなどの基本的な生活習慣、中学年では日常の社会規範を守る態度、高学年では公徳を守り公共に尽くそうとする態度、また、中学校においては人間としての生き方の自覚などに留意して、小学校低学年十四項目、中学年十八項目、高学年及び中学校二十二項目として、内容の重点化を図った。

(3) 指導計画や指導上の配慮事項の明確化

道徳教育の全体計画と道徳の年間計画を作成すること、豊かな体験を通して児童生徒の内面に根ざした道徳性の育成を図ること、また、家庭や地域社会との連携を図り、日常生活における基本的な生活習慣や望ましい人間関係の育成などにかかわる道徳的実践が促されるようにすることを示した。

 

2、基礎・基本の徹底と個性を生かす教育の推進

 

「豊かな心をもち、たくましく生きる人間」を育成するために、すべての児童生徒に欠かすことのできない知・徳・体の基礎的・基本的な内容は何かを明確にし、確実に身に付けさせる必要がある。また、その過程を通して更にそれを基盤としながら、一人一人の児童生徒の個性を生かすよう努めなければならない。

(1) 基礎・基本の確かな定着

すべての児童生徒に、基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ、基礎学力の向上を図ることは、各学校がかかえる最大の課題である。

標準学カテストや諸調査の実施結果を克明に分析して、自校の児童生徒の学力の実態と問題点を明確にして、基礎・基本を習得させるための指導の徹底を期する必要がある。

基礎・基本の確かな定着を図るためには、次の点に留意することが大切である。

ア、教材の系統・発展を的確にとらえ、基礎的・基本的事項を明確にするとともに、指導を徹底して、確実に身に付けさせる。

イ、各教科の特質に応じた学習の仕方の指導の充実を図るとともに、自己教育力を育成するための指導過程や指導方法を工夫する。

ウ、児童生徒の個人差に応じ、個性を生かした指導に努める。

エ、国際化や情報化など社会の変化に主体的に対応できる能力を育成するとともに、郷土の文化と伝統を尊重する態度を育てることに努める。

オ、学習指導における形成的評価の在り方、情意面の評価の在り方について工夫、改善し、指導と評価の一体化を図る。(平成元年三月発行の「基礎的、基本的内容の確かな定着を図るための努力点」を参照)

(2) 個性を生かす教育の推進児童生徒一人一人のもつ能力や適性を最大限に伸ばし、個性を生かす教育の充実を図るためには、次の点に留意することが大切である。

ア、一人一人の能力・適性、興味・関心等を的確にとらえる。

イ、個に応じた学習指導方法を工夫する。

・教師主導の一斉画一的な指導から脱し、児童生徒の論理や主体生を大切にする。

・一人学習やグループ学習の工夫など、学習形態の最適化を図る。

・個を生かす発問や板書の工夫などの指導方法の改善を図る。

・個に即して学習課題や到達目標を設定し、学習時間や学習量の調整を図る。

・視聴覚教材の開発やコンピュータ等の教育機器の活用により指導方法の改善を図る。

ウ、小学校低学年の指導に当たっては、新学習指導要領の生活科の趣旨を考慮し、合科的な指導を一層推進する。

エ、中学校における選択教科の運営や指導方法の改善、充実を図る。

 

3、自己教育力の育成

 

これからの学校教育は、生涯学習の基礎を培うものとして、自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成、すなわち自己教育力の育成を重視する必要がある。

そのためには、児童生徒の発達段階に応じて必要な知識や技能を身に付けさせることを通して、思考力、判断力、表現力などの能力の育成を重視しなければならない。

 

 

 


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