教育福島0140号(1989年(H01)07月)-038page

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研究実践

レポート

 

昭和63年度教職員研究論文の紹介

自ら学ぶ児童生徒の育成

理科の指導  −中学校−

算数科の指導 −小学校−

 

生徒一人一人の学習意欲を高め、自己探求力を育成する理科指導

 

−指導の個別化・学習の個性化を図る授業の実践を通して−

 

郡山市立郡山第二中学校

 

教諭 佐々木 清

 

一、研究の趣旨.

今日、学習指導要領改訂にあたり、

「自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の指導を徹底し、個性を生かす教育の充実に努めなければならない」ことが強調されている。特に、体験的な学習が重視される理科教育においては、生徒が自ら課題を見つけ、計画し、自ら解決の仕方を工夫し、実践する、主体的な探究活動を保障し、問題解決的な学習の仕方を習得させなければならない。そこで、生徒一人一人の個人差に目を向け、個に応ずる授業を展開していく必要があると痛感し、主題を設定した。

 

二、研究の仮説

生徒が探求活動を進める過程において、学習の進度や学習スタイルに応じた自由進度別学習と、追求の方法や興味・感心に応じた課題設定学習を平行させて展開するとともに、自己評価能力を育成すれば生徒一人一人の学習意欲が向上し、自己探求力が育成・伸長されるであろう。

 

三、研究の構想

1 一人一人の生徒が、自分の考えを発展させ深めていこうとする自主的自立的活動の場の設定

(1) 生徒にとって一連の探究活動がしやすく、知的好奇心を呼び起こす小単元を構成する。

(2) 指導の個別化を図った自由進度別学習と、学習の個性化を図った課題設定学習を並行させて授業を組み立てる。

(3) 学習課題を構造化し、生徒に課題解決の見通しを立てさせる。

2 一人一人の生徒が、自分の考えを大切にし、自分の力で学習課題を追究していこうとする学習材の開発

(1) 生徒の学習進度や学習スタイルに応じ、個別に進められるワークシートを作成する。

(2) 生徒自身による探究活動を進めさせるために、「学習のパッケージ化」を図る。

(3) 個別実験や小グループ実験を通して、生徒一人一人が探究活動を進められるような教材・教具を開発する。

3 一人一人の生徒が、集団の中で生かされ、更に自分を高めていこうとする学習ルールの確立

(1) 学習進度や学習スタイル、学習課題に合わせた弾力的なグループを編成し、生徒同士間でつまずきを解決させ、効果的に課題解決をさせる。

(2) 自由に情報交換をさせる中で、多様な考え方を大切にし、協力し合って互いに高め合う態度を育てる。

4 生徒一人一人が、自己評価活動によって自分の個性を見つめ、更に、追究していこうとする自己評価能力の育成

(1) 自分の学習した内容を振り返りながら、意欲づけや学習目標を持たせる自己評価カードを作成する。

(2) 自己評価項目を、行動目標で表現し、その基準に照らし合わせて客観的に自己反省できるようにする。

(3) 学習過程における自己の達成度を

確認し、自己修正に結びつける評価

活動をさせる。

(4) 個人のプロフィールや達成状況をまとめ、生徒一人一人の実態を把握する。

 

四、研究の実際

昭和六十三年度は、指導の個別化、学習の個性化を図る授業を四回実践してきた。その中で、パソコンで生徒一人一人の学習スタイルを集計し、生徒の学習適性に応じた授業の設計をもとに実践したことを紹介する。

1 検証授業の計画

(1) 授業実践の目標

生徒の学習スタイルに応じた課題解決学習を展開する。

(2) 単元名  「物質とイオン」(題材名) 水溶液を流れる電流

(3) 小単元の目標(略)

(4)本時のねらい

塩化銅水溶液の電気分解の現象をイオンのモデルを用いて説明することができる。

(5) 指導過程(資料1)

2 授業の考察

(1) 問題を解決するための学習課題を全員で練り上げ、学習内容を構造化し、自分で学習する順序を決めたので、生徒一人一人が課題解決の見通しを持って探究活動を進めた。

(2) 思考過程をステップ化し、更にタイプに応じたワークシートを活用し、

 

 

 


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