教育福島0141号(1989年(H01)09月)-030page

用水路を引くために、今をさかのぼる四十五年前に多くの先人が苦労した工事の様子など、ひとつひとつが大きな感動を呼び、次の授業へと展開していきました。

聞き取り学習では、児童自らが、当時小学生だったというSさん宅を訪ね、「トンネル工事では、呼吸が苦しくなるので唐箕で風を送ったんだよ。私は、その唐箕まわしを手伝ったんだよ」という話を聞き、更に工事に使われた道具を次々に集めてきました。これには、親たちが、本当に協力してくれました。なかには唐箕まで、教室に運んでくれた方もおりました。

そして、何よりも心を動かされたのは、この学習を通して、子どもたちと親との心の交流が一層深まりを見せてくれたことでした。「私は、嫁に来て、この土地の暮らしと一番関係の深い東根堰のことが何もわからなかったのですが、子どもたちのあまりにも熱心な学習ぶりについ引き込まれ一緒になって勉強したんですよ」と。またある親は、「子どもたちの聞き取りに応じているおじいちゃんのあんなに生き生きとした顔を見るのは初めてです。私もこれからまだ知られていないこの土地の歴史について、おじいちゃんからいろいろと聞いておきたいと思います」と、話していました。

私はこの郷土学習を通して、子どもたちが、このようにやる気を起こして熱心に取り組む姿に触れ、大きな驚きと喜びを覚えました。また、親をまで学習に巻き込んだことが親と子のふれあいを一層深めていく上で、大きな役割を果たしたものと信じています。

子どもたちの豊かな創造性を育む学習活動として、自分が生まれ育った郷土の歴史を探究することが非常に効果的であることを、私はこの経験によって知ることができました。生き生きとした活動によって学習意欲の深まりと高まりを得ることができたというこの貴重な体験を今後の指導に生かしていきたいと思っています。

(保原町立上保原小学校教諭)

　

社会人受入れの新制度が発足

福島大学大学院(経済学研究科)

　

昭和六十一年度から社会人受入れを始めた福島大学大学院(経済学研究科一では、文部省の承認を経て、受入れ制度の弾力化を決定、平成二年度から新たに「昼夜開講」方式による社会人受入れ制度を発足させます。

新制度の概要は次のとおりです。

一、出願資格

○大学卒の資格をもつ社会人(有職・無職を問わない。但し、大卒後五年未満の無職者を除く)。

二、入学試験

○資格要件により、以下の二つのうち指定された方法による。

(1)　大卒後五年未満の有職者及び大卒後五年以上の無職者。

〔受験科目〕…外国語一科目/専門科目二科目/面接。担し、外国語については、配点上一定の配慮をする。

(2)　大卒後五年以上の有職者。

〔受験科目〕…専門科目二科目/面接試験。一外国語は課さない)。

＊いずれの場合も、卒業論文・研究調査報告書・学術論文などの業績があれば、合否判定の材料とする。

三、試験日

○平成二年二月二十七・二十八日。(合格発表。平成二年三月二十二日)

四、履修方法

○夜間の二時限(一八一〇〇−一九一三〇/一九一四〇−二一一一〇)に設定される授業のみの履修によって、課程終了に必要な全単位一三〇単位一を修得することが認められ、かつ、勤務態様等に応じて、そのうち十四単位までは、昼間の授業時間帯で修得することも可。

五、学位および取得賓格

経済学修士。あわせて、高等学校専修免許状「社会」・「商業」を取得できる。

問合せ先…福島大学経済学部教務係。

〒九六〇−一二　福島市松川町浅川字直道二　TEL〇二四五−四八−五一五六　(直通)四八−五一五一　(内線)二五〇七

　

移動図書館「あづま号」が新しくなりました！

県立図書館では、図書館のない町村に、移動図書館「あづま号」を巡回させていますが、この度、日本宝くじ協会からの御寄贈により、「新あづま号」が誕生いたしました。

今度の「あづま号」は、二千五百冊の図書積載が可能で、天井には明かり取り用の窓も付き、採光にも充分をつかったものとなっています。また、絨毯敷きに冷暖房完備と、利用しやすい造りにもなっています。　併せて図書の御寄贈もありましたので、ますますのサービス向上に努めたいと思います。皆さんのご利用をお待ちしております。