教育福島0142号(1989年(H01)10月)-040page
昭和63年度教職員研究論文の紹介
生き生きした造形活動を通して、創造的表理力を高める指導
(立体・彫塑で表わす造形的な遊びの分野で)
会津若松市立城西小学校教諭 馬場 泰
粘土による作品(2年・男)
一、はじめに
子どもに限らず、我々大人でも生まれつきあの軟らかい土や粘土の得も言われない感触に対して本能的に親しみも持っている。かつて、子どもたちはちょっとした水たまりでも小さな砂場でも、見つけしだい服の汚れなど意に介さず、すぐ水遊び、どろんこ遊びを始めたものである。
ところが、最近の子どもたちは生活環境の変化に伴い土と体ごとぶつかるような体験をすることが少なくなってきている。このような時だからこそ、子どもたちにたつぶりと土遊びをさせたいと考えた。
この研究では、まず、土や砂そのものとたっぷり触れ合わせることにより土粘土との印象的な出会いをさせる。そして、感じたことや考えたことを思いのままに土粘土で作れる確かな表現力を身に付けさせることをねらいとしている。(以後、土粘土と言わずに粘土という。)
二、主題(標記)設定の理由
本研究主題は「表現意欲を原動力として自分の目、手、頭、体を十分に働かせて生き生きと造形活動に取り組み、創意工夫を凝らしながら作品を完成させ、造形する喜びを味わい、創造的表現力を高めていく子どもの姿」を目指して設定した。それには、次の三つの研究の視点がある。
○ 表現意欲に支えられて、主体的に造形活動に立ち向かう子どもの姿を大切にする。
○ 表現の意図や願いをしっかり持って自分の力で取り組む子どもの姿を大切にする。
○ 子ども一人一人の個性的な表現の良さを認め、夢中になって立ち向かう子どもの姿を大切にする。
三、児童の実態
ほとんどの子どもは、図工が好きである。クロッキーを一年生の時から続けてきたので、絵画に対して抵抗感を持っている子どもはそう多くない。彫塑の面では、男一名、女一名が土遊びや砂遊びが嫌いだと言っている。どろんこ遊びで積極的に対象にかかわっていくのは男子に多いようである。
四、研究の目標
立体・彫塑、造形的な遊びにおける技術、技法の基礎・基本を明らかにし、それを学習過程に位置付けた指導過程を作成する。■
五、研究の仮説一見通し)
粘土彫塑の具体的な技術の基礎・基本を明らかにし、学習過程に明確に位置付けた指導過程を作って指導すれば、創造的表現力が高まるであろう。
六、研究の実際.
(一)実践題材
1、土遊び
資料1 立体、彫塑領域における各学年別の内容と基礎・基本となる技術・技法の系統表(試案)