教育福島0142号(1989年(H01)10月)-043page

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表1 予防的な指導援助の要点 (教師に対する調1結果より)

表1 予防的な指導援助の要点 (教師に対する調1結果より)

表2 予防的な指導援助の要点 (児童生徒に対する調査結果より)

表2 予防的な指導援助の要点 (児童生徒に対する調査結果より)

図4 問題行動の形成と予防過程

^ーおよび学校における相談事例をもとに図4のような「予防過程」にまとめた。

これら調査結果と、当教育センターおよび学校における相談事例をもとに図4のような「予防過程」にまとめた。

相談事例の詳細は省略するが、各事例ごとに「指導援助」を吟味し、図中にあるような「予防的な指導援助に必要とされる要点」を明らかにした。

・ 指導援助者の姿勢

・ 子供についての理解

・ 問題行動についての理解

・ 問題点の気づき

・ ラポールの形成

・ 資料収集、予測診断、予防仮説

・ 本人への予防援助(指導援助)

・ 家族への予防援助(指導援助)

・ 学級への予防援助一指導援助)

・ 予防体制一指導体制)

・ フィードバック

・ 予防援助の終了

問題行動は、「素因1」に「形成要因」がはたらいて「素因2」が形成され、これに何らかの「誘因」が引き金となってはたらいて発生するものと考える。しかし、このとき素因2の形成や問題行動の発生を抑制する力の働きがあれば、問題行動への進行を遅らせたり、食い止めたりすることが可能である。(図5参照)

予防援助とは、本人、家族、学級全体への援助を通して、素因の改善や解決、形成要因と誘因の減弱や除去、並びに問題行動の発生を抑制している何らかの要因「抑制要因」を強化することである。そのためには、予防的な指導援助に必要とされる各要点を踏まえ、その順序に従う必要がある。

図5 問題行動発生の推移

五、おわりに

五、おわりに

予防的な指導援助についての調査と収集した事例から、共通した事項やかかわりがみられ、そこから予防的な指導援助の要点と基本的な対応を集約することができた。一紙面の都合上、収集した事例や対応の具体例は省略)

これらの要点と基本的な対応が問題行動の発生予防になることを説明した。このことは、指導援助を構造的に進めるために役立つものと思われる。

また、予防的な指導援助の研究は過去の文献に多くの例を見ないことからこれら一連の研究は、予防的な指導援助について、今後、一つの参考資料になると思われる。第二年次は、予防的な指導援助に直接活用できる具体的な内容と、参考になる実践事例を中心に集約する予定である。

 

 

 


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