教育福島0144号(1990年(H02)01月)-034page
特集2
家庭教育の充実をめざして
社会教育課
はじめに
親
親て かってなもんや。
悪い点とったら
「ほかの人は向点え」
と聞いて
「あきまへんよ」
て おこる。
「はかの人も 悪いにゃで」
と いうと
「人の悪なんか言わんでもよろしい」
て おこる。
親て
ほんまにかってなもんや。
(日本作文の会「五年生の教室」から)
子どもは、常に比較を超えた存在といわれます。
天性の、子ども特有の個性を伸ばしてやるのが親のつとめであり、喜びにつながるとも思うのですが…。
家庭教育の充実は、単に一家庭の問題にとどまらず、次代を担う青少年の健全育成や住みよいまちづくりにとって重要な基盤となるものといってよいでしょう。
現在、私たちの生活の基盤である家庭や家族を取り巻く環境は、都市化や核家族化、少子化、高齢化の進展、女性の社会参加の増加などにより大きく変化し、私たちの教育観や親子観、夫婦観も昔と今とでかなりの差異を生じております。
こうした環境の変化に対応し、一方ではまた環境や時代に左右されない不易の部分も考慮しながら、望ましい家庭教育の在り方を考えてみたいと思います。
一 家庭教育に関する意識
先日、ある研修会で、講師のY先生が参加者に尋ねました。「家庭って、なに?」
家の庭と書いて家庭。家庭とはなんなのでしょう。家族にとって、家庭とはどんなところなのでしょう。
そして、望ましい家庭とは……。
最近、家庭や地域の教育機能が低下しているとよく言われます。
ほんとうでしょうか。
家庭や地域の教育機能の低下が事実とすれば、いったい私たちはどんな手だてをすればよいのでしょうか。
昭和六十三年七月、総理府が実施した「家庭と地域の教育力に関する世論調査」(家庭と地域社会の教育機能に対する関心、認識、期待等の調査)を基に、家庭や地域の教育力の現状や課題について探ってみましょう。
(一) 家庭におけるしつけや教育カ
図1をごらんください。
家庭におけるしっけや教育力に関して、「しつけや教育力は低下しているか」という問いに、「そう思う」と答えた者はおよそ六十三パーセント(「全く」十七パーセント+「ある程度」四十六パーセント)「そうは思わない」と答えた者はおよそ二十七パーセント(「全く」五パーセント+「あまり」二十ニパーセント)で肯定的な見方がかなり多くなっています。
そう思うと答えた者は、大都市、高学歴者、女性より男性ほど多く、共働き家庭の主婦より専業主婦が多いという結果がでています。
それでは、いったいどんな面で家庭のしっけや教育力が低下していると見るのでしょうか。その内容を前出の世論調査から探ってみましょう。
テーマは「父ちゃんと母ちゃんの子育て二人三脚」 (子育てセミナー)