教育福島0144号(1990年(H02)01月)-046page

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教育センターから

情報活用能力の育成について

〜第1年次の研究実践から〜

 

一、はじめに

情報化が著しく進展している今日の社会では、全体の物的生産力が増大するだけでなく、知的情報量が急激に増え、情報の価値も大きく変動しています。このような社会の変化に対応するために、二十一世紀を担う児童生徒たちにとって、情報活用能力を身に付けることは極めて重要なことになります。

当教育センターではこれらのことを踏まえ、情報化に主体的に対応できる能力を育成する具体的な方策の追究を目指して、テーマを『情報活用能力の育成に関する研究』と設定し、六十三年度から二年計画で研究を始めました。

 

二、情報活用能カが育成された状態像と評価

情報活用能力が身に付いている子どもとはどのような状態を指すのかを明確にするため、まず県内小・中・高校の各校種ごとにアンケート調査を依頼し児童生徒たちを取り巻く学習環境を調べました。この調査結果を基にして『情報活用能力が育成された状態像』について研究討議を重ね、次のような理論構成を行いました。

研究の最終到達目標を『高度情報社会に対応できる心豊かで創造的な人間の育成』におき、これを支える三つの上位目標(1)〜3))と更に具体化した十二の下位目標(1)〜12))を設定し構造化しました。(図1参照)

また、この下位目標を『児童生徒に情報活用能力が育成された望ましい状態像』と定めました。これを教師が観察し評価する尺度として用いるため、それぞれ五段階に分けて設定したものが評定尺度1です。(資料省略)

行動面に現われたものを教師が観察評価すると同時に、児童生徒の情意面の動きや変化を見ることも極めて重要であると考え、評定尺度1の各要素に合わせて児童生徒が自己評価を行う尺度として作成したものが評定尺度Hです。これは小・中・高校ごとに発達段階に応じて表現等を工夫しながら作成

 

図1 情報活用能力育成目標の構造

資料1 自己評価票(評定尺度11)

資料1 自己評価票(評定尺度11)

(中学校用の一部)

1) あなたは、何か分からないことがあったとき、そのための情報を自分から進んで収集していますか。(それぞれ5段階の中から回答する)

2) あなあは、収集したものの中から、必要なものをより分けることができますか。

3) あなたは、調べたことがらを、分かりやすく図や表にまとめていますか。

4) あなたは、何かを解決しようとするとき、いろいろな情報を基にして、新しいアイディアを思いつくことがありますか。

5) あなたは、情報を相手に分かりやすく、的確に伝えることができますか。

6) あなたは、日常生活の中でコンピューターがますます身近なものになってくると思いますか。

7) あなたは、コンピューターの進歩が人間に及ぼすマイナス面の影響を考えることがありますか。

8) あなたは、テレビや会話などに出てくる情報の価値や重要性について考えることがありますか。

9) あなたは、他人の作ったものを無断で使用したり、自分の出した情報に………

 

 

 


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