教育福島0144号(1990年(H02)01月)-055page

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世界の教育は、今。

海外教育事情の紹介

個を生かし教育再興の努力

−アメリカ合衆国−

アメリカ合衆国の学校制度は、地方分権制度がとられており、訪問地バージニア州における初等・中等教育は、四(小学校)…四(中学校)…四(高等学校)の十二年制義務教育の形態を採用している。さらに、義務教育の開始年齢は、七歳としてはいるが、児童の集団への適応状況などから六歳からの就学を認めており、個別指導を徹底し、基礎学力の向上に力を注いでいる。

一人一人をよく見つめ自信を持たせる指導

州都リッチモンド市の南東部にあるホープウエル市では、市を上げてケアリング・カリキュラムの試みを行っている。これは、子どもたちのより良き成長を願って、教師集団が力を合わせ子どもをよく観察し、子どもの持つ良い点を引き出し、その手なりの自己実現が図れるよう教師も自らパートナーとなり個別化の創意工夫をしていこうというものである。

パトリック・コープランド校は、幼稚園の課程も併設した四年制の小学校である。ここでは個に応じた新しいプログラムの実践を試みており、おもに『読み、書き、計算』を中心に基礎基本の定着のために学習の個別化を図りながら教師が創意工夫をし、努力する姿がみられた。

児童一人一人に「フィール・グッド(Feel good)……自信がある、良い気持ちにする。」の姿を実現させるために、一人一人をよく観察し、個性的な存在として確かに理解し、教師の期待も分からせながらエスティーム(自信を身に付けさせる)の指導を続けており、個性を尊重した教育の在り方について大変興味深く参観させていただいた。

校長のジャネット・コビントン女史から、併設されている幼稚園では、『子どもに初めから失敗させないようにするために、子どもの成長に応じて、低年齢の発達段階に応じたプログラムも設け、個に応じた教育を早い時期から始めている。特に、ジュニア幼稚園にも力を入れ、幼児の社会生活への適応にも配慮をしている』という説明の中に、恵まれた教授スタッフ、施設設備を持つ米国教育環境を背景とした教育復興への自信に満ちたものを感じた。

徹底した個性化教育

教育機器と個別学習プログラム

多民族国家アメリカ合衆国の悩みは、言語、宗教の問題等と多種多様である。バージニア州では、『国語』の教育に力を入れ.書き取り・読むこと』を通して、全教科の基礎となる学力も育てようとしていた。また、コンピュータもCAI学習としてふんだんに授業に取り入れられ、低学年から『コンピュータ文盲』の解消に努めている姿に接し日本との国力の差を感じさせられた。

米国では、教育の再興を国策に取り上げ、いまその改革に向けて、動き出したところである。

昭和六十三年度教員海外派遣福島県第七十一団郡山市立金透小学校教諭 羽川昌廣

カーター・G・ウドソン中学校児童会役員の生徒たち

カーター・G・ウドソン中学校児童会役員の生徒たち

読み聞かせによる国語の授業(パトリックコーポランド小学校)

読み聞かせによる国語の授業(パトリックコーポランド小学校)

聞く能力を高める

聞く能力を高める

コンピュータによる個別学習

コンピュータによる個別学習

(パトリックコーボランド小学校)


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