教育福島0146号(1990年(H02)04月)-011page

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心身を鍛えたり、地域との連携による異年齢の人たちとの交流や地域活動ヘの参加等の社会生活の体験を通して、子どもの豊かな心を育てる取りくみも多くなってきています。

 

(4) 地域の実態を取り入れた教育目標を立てる

各学校の教育目標が、児童生徒の実態を踏まえたものでなければならないことは言うまでもないことですが、更に、広く生涯学習という観点から設定されるべきものであり、従って、その地域の教育目標をも踏まえたものであることが望まれます。

即ち、各学校における教育目標の設定に当たっては、その地域が育てようとしている人間像と学校が育てようとしている児童生徒が結び付いているかどうかということに留意する必要があります。

以上、生涯学習と学校教育のかかわりについて、四つの視点を中心に述べてきましが、これらのことをより一層効果的にするためには、教師自身の意識の変革が必要となります。

教師自らが学校教育中心の考え方から離れ、「教育は、学校教育と社会教育の相互補完によって行われなければ効果が上がらない」との認識に立つ必要があります。

 

5 生涯学習が目指すもの

 

生涯学習は、一人一人の学習の目的と選ぶ手段・方法によって、その学ぶスタイルは様々です。

従って、一人一人が生涯にわたり必要に応じて学習できるように、諸教育機能を総合的に整備して、多様な学習機会が提供される「生涯学習社会」の実現を目指す必要があります。

これらの生涯学習を援助するため、県や市町村行政は強力な連携体制をとりながら「生涯学習社会」の実現を目指した、生涯学習推進体制の整備を図っています。

 

楽しいだんごさし(岩代町ふるさと文化ふれあい教室)

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二、生涯学習の基盤整備について

−中央教育審議会の答申から−

 

去る一月三十日に第十四期中央教育審議会より、「生涯学習の基盤整備について」の答申が文部大臣に提出されました。

この答申の内容は、生涯学習社会ヘの移行を目指して、学習需要の高度化、多様化に応じた方策の在り方について検討されたものです。

答申では、生涯学習社会における学校教育の役割や企業内教育についても触れており、特に、勤労者の生涯学習を進めるための方策等について提言しているなど、これからの生涯学習への積極的な対応がみられるのが特徴です。

今後、文部省ではこの答申を受け、生涯学習振興法(仮称)の国会提出など、生涯学習の基盤整備は大きく前進するものと考えられます。

答申の要旨は、次のとおりです。

 

1 生涯学習の基盤整備の必要性

 

(1) 学校教育への過度の依存に伴う学歴偏重の弊害が生じており、今後はこれを是正して、人々が生涯にわたって学習し、それを正当に評価する社会を築くことが重要であるとしています。

 

(2) 産業構造や就業構造などの急激な変化に対応して勤労者の生涯学習の必要性が高まっている。このため、各企業等における教育・訓練を充実することや労働時間の短縮、有給教育・訓練休暇制度の普及などにより、勤労者が学習活動に参加しやすい条件を整備することが望まれるとしています。

 

2 生涯学習の推進体制

 

(1) 国においては、生涯学習推進のために文部省と関係省庁との諸政策の蓮絡調整事項についての調査・審議を行う組織の設置を検討する必要があるとしています。

 

(2) 都道府県においては、現在、設置されている生涯学習推進のための連絡調整組織に対し、制度上の位置付けを与える必要があるとしています。

また、市町村においても、一部では連絡調整のための組織が設置されているが、これらについても、制度上の位置付けを与える必要があるとしています。

 

3 地域における生涯学習の中心機関

 

◇生涯学習推進センター

地域における生涯学習を一層推進するためには、その中心機関となる「生涯学習推進センター」を設置することが必要であるとし、その果たすべき機

 

 

 


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