教育福島0146号(1990年(H02)04月)-031page

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(3) 家庭・地域社会連携部

1) ねらい

「道徳の時間」を中心として、各教育活動の中で実践の拡大を図るとともに、学校と家庭の連携を密にすることにより、道徳意識の高揚と日常生活における基本的生活習慣や望ましい人間関係の育成にかかわる道徳的実践が促される方法の解明を目指した。あわせて、一人一人の生徒の個性を伸ばし、学校での道徳教育の成果を一層確かなものとするために、教師と父母との共通理解を図り、共通の意識の上に立った指導のあり方を明らかにすることを目指した。

2) 実践内容

ア.学校・家庭連携会議

学校と家庭との連携の充実を図ることにより、家庭での教育力の向上を目指した。具体的には、家庭における「基本的生活習慣」の定着を図るために各種の調査をし、実態の分析と具体策について検討した。

更に、各種行事についての意見の交換や体験学習、ボランティア活動の企画、実践に力を入れた。

イ.道徳教育の手引き「一会の心」の発刊

家庭での道徳教育を進める上での「道じるべ」として、五つの小学校区の先人の体験文を載せ、本校の生徒像に追るように作成した。そして、それを各家庭に配布し、家庭での親子の対話の機会を設定した。また、この「一会の心」を道徳の授業に取り入れるとともに、学級・学年懇談、地区懇談等の機会にも紹介し、多くの保護者に読んでもらうように努めた。

ウ.奉仕活動

奉仕活動を、基本的生活習慣を確立する場、勤労意欲を育てる場、生徒の自立性を引き出す場などととらえ、教師と生徒、生徒相互の触れ合いを深めるように配慮した。協力し合う望ましい人間関係の中で、「心豊かなたくましい人間の育成」に結びつく活動を進め、それが生きたものとして、学校生活の中で発揮できるように努めた。

エ.地区生徒会、懇談会の改善

同じ地区に生活していながら、地区ごとに話し合う機会も少ないことや生徒の縦の人間関係が薄いということから、地区単位で奉仕活動や駅伝、球技大会、懇談会等によって連携を図った。更に、道徳の授業を参観することによって、道徳教育に対する関心も高まるであろうということから、保護者会には必ず道徳の授業を参観できるようにした。また、授業参観後の懇談会では、道徳の授業を参観しての感想を話し合う機会を設けた。更に、地区懇談会では、道徳教育に関する共通のテーマを設定し、話し合うことにした。

 

六 研究の成果と今後の課題

 

(1) 研究の成果

受動的で、与えられなければ行動に移せなかった生徒たちが、生徒会役員の発案で、体育館の床みがきを計画し、生徒全員で実践した結果、見違えるほど美しくなった。その体育館を見てみんなで協力してやれば、すばらしい結果が得られることを実感できた。このような成功感を味わったことから、生徒会では、更に、校舎の壁面のペンキ塗りや花壇作りを計画し、自らの手で実行するようになった。

更に、自分たちでできる範囲で、困っている人のために役立ちたいという考えを持つようになった。近くの老人ホームの慰間、農家に出向いての作業協力などがそれである。このような実践活動を通して、他人へのいたわりや思いやりの心が芽生えてきたように思える。

また、家庭においても、家族の一員としての自覚を高め、自分の役割を果たし、家族に協力しようとする心や態度も育ってきたと考える。

(2) 今後の課題と取り組み

思いやりの心や協力し合う心を育てる道徳教育のあり方について、明確な結論を得るには至らなかった。私たちに残された課題は、数多くあるが、中でも、保護者の道徳教育に対する関心の高まりや奉仕活動等の体験学習を継続、発展させ、今後とも道徳性の伸長に努めることが必要である。

また、道徳の授業については、教師生徒ともに意欲的に取り組み、活発になってきた。更に、指導技術の向上を目指すとともに、思いやりの心や協力し合う心を育てるために、道徳の授業で、どのような資料をどう扱っていけばよいか、研究を進めていきたい。

 

老人ホーム慰問でのお年寄りとの交流

老人ホーム慰問でのお年寄りとの交流

 

 

 


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