教育福島0147号(1990年(H02)06月)-006page

提言

足もとを見よ

　

　

福島市大森 円通寺住職 吉岡棟一

　

私は外国に行くことが多い。ベトナムだけでも二十六回も行き、百回以上も外国に行った。外国に行くと、日本で知らなかったことを多く体験する。一昨年、米国のロサンゼルス市内のリトル東京を歩いていたところ、子供たちが五、六名、私のそばにやってきて握手を求め「一休さん?」ときくので、どうして一休さんを知ってるのかと尋ねたら、テレビで見たという。日本のテレビ番組が、米国で放映されているのである。私は外国に行くときは、頭を剃って、和服姿、草履で行くので、日本人であることがすぐ分る。外国人は、戦争に敗れて、食うものもなかっ

た日本人が、世界で一番の金持ちになり、一番の長寿国になった日本に、異常な関心をもつのは当然なことである。

米国のカリフォルニア州の州部であるサクラメントは、会津のおけいという娘さんが、日系人として、始めて移住し、十九歳の若さで亡くなった地であるが、ここの州庁に行ったところ、米人から声をかけられ、公園に連れてゆかれ、そこに咲くツバキの説明を求められた。実は

　

【筆者紹介】

　

吉岡棟一・よしおかとういち

大正 三年　福島市に生まれる

昭和　　九年　福島師範学校卒業、小学校教員五年

同　 十五年　文部省構内社会教育学院卒業

同　 十六年　駒沢大学仏教学部卒業、円通寺住職

同 二十四年　福島県連合青年会副会長

同 三十二年　福島ルンビニー幼稚園開設

同 三十五年　曹洞宗福島県宗務所長、以降三期

同　 四十年　福島県仏教会長

同 四十一年　福島県史編集委員

同 四十二年　ベトナムに渡り、釈迦休戦成立、難民二十三名を日本に招く

同 四十三年　ベトナムに平和の鐘を贈る

同 四十五年　曹洞宗宗議会議員当選、以降七回当選

同 四十八年　県文学賞受賞

同 五十六年　曹洞宗教学部長、駒沢大学理事長

平成 二年　曹洞宗宗議会議長、愛知学院大学理事長

○現在の主な役職

・曹洞宗宗議会議員・同会議長

・駒沢大学理事

・東北福祉大学理事

・東京グランドホテル取締役