教育福島0147号(1990年(H02)06月)-007page
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ツバキのことなどは全く知らなかったが、ドイツのケンペルという方が、一六九〇年に日本に来て、長崎から江戸に行く途中、見たことのない美しい花があるので、スケッチをして、花の種と一諸に、ロンドンの博物館に送ったところ、欧州では全く無い花なので、カメリヤ、ジャポニカと命名した。つまり日本の花ということで、ツバキの種はイギリスに始まって、イタリアに渡っては、歌劇「椿姫」となり、イギリスの植民地である米国や豪洲に渡って、花を咲かせたのである。春になると、日本中至るところに咲いている花が、日本の花だとは知らなかったので
ある。日本人は、島国根性といわれるように、狭い国に住んでいるところから、広い視野に立てないようである。
「禅」というものは、欧州には全然ない概念なので、大変興味を持たれているが、そこに「脚下照顧」という語がある。足もとを見よ、汝自身を知れということであるが、人はとかくすると、遠い彼方に目を奪われやすいが、それよりも、身近なものをよく知り、極めなければならないというのである。福島には「家のぼたもちうまくない」という慣わしがある。家でつくったぼたもちはうまくなくて、隣の家のぼたもちはうまそうだというのであるが、これではいけないので、自分の家のもののよさが分るように工夫すべきである。日本がこんなすばらしい国になった背景には、日本のよさというものがあったのである。外国のことを知るのは大事だが、日本の善さを充分理解する必要がある。こうなれば、日々是れ好日と言って、その日その日が楽しく、明るく生きてゆかれるのである。
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スリランカの高官と会談する筆者(左)
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