教育福島0147号(1990年(H02)06月)-016page

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5)生徒相互に思いやりの心が生まれ、教師と生徒の信頼関係がより深まってきた。

 

六 今後の課題

1)基本的生活態度の育成については、生徒理解に立った組織的、継続的指導を一層推進する。

2)「わかる授業」の創造をめざして、指導法の一層の工夫改善に努める。

3)自主性を高める手だてについての研究を一層推進する。

4)保護者への啓発を図り、家庭の教育力を高め、学校と家庭の役割を明確にして、生徒指導の充実に努める。

 

生き生きとした学校生活を目指して

−高等学校−

 

一 はじめに

平成元年度の県立高等学校の中途退学者の数は、全日制の課程において、千七十八名であり、在籍者数に占める割合は、一・四七パーセントである。〈資料1〉

 

資料1 平成元年度県立高等学校中途退学者状況

 

よる者が三百六十三名、「問題行動等」による者が百八十名などとなっている。

 

このうち、四百三十五名が「学校生活・学業不適応」を理由として退学しており、次に「進路変更」による者が三百六十三名、「問題行動等」による者が百八十名などとなっている。

生徒たちが退学に至る経緯を見ると、たとえばそれが「学校生活・学業不適応」を主たる理由としていても、いくつかの原因が複合した結果である場合が多い。若い、心の揺れ動き易い時代に、いくつもの荷物を背負わされた状況においては、支えなしで歩き通すことは困難である。

生徒指導の意義は、本来、一人一人の生徒の個性の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己実現ができるような資質・態度を形成していくための指導・援助であり、個々の生徒の自己指導能力の育成を目指すところにある。

本県の高等学校においても、このような状況を踏まえ、中途退学の防止を含めた生徒指導上の諸課題への取り組みとして次のようなことがなされている。

 

1、教師の共通理解を深め、校内指導体制の充実改善を図る。

日常の教育活動を通して、生徒の実態を適確に把握し、教師の共通理解のもと、学校あげて効果的な指導活動を推進するとともに、生徒指導についての研修を実施するなどして、教師の指導力の向上に努めている。

 

2、生徒理解の深化を図り、学校生活への適応指導を進める。

ホームルーム活動を中心に、生徒の学校生活への適応指導を進めるとともに、教育相談活動の充実を図り、生徒の個別理解を進め、生徒を多面的に理解することにより、生徒が当面する諸課題への対応に努めている。

 

3、集団生活における規律の維持向上に努める。

集団として、凝集性が高く、相互に自己を向上させることができるなどの良い点を持った集団の育成に努めることにより、所属意識や連帯感を高め、自主的、自律的に活動する中から規範意識を高揚させるなど、集団としての規律の維持向上に努めている。

 

4、家庭及び中学校との連携を密にし、地域ぐるみの生徒指導の推進を図る。

家庭との連携は、学校教育の基盤である。加えて、中・高一貫の指導、地域ぐるみの活動は、今後更に重要性を増してくる。

生徒は様々な環境の中で生活している。生徒を多面的に理解し、生徒を取り巻く地域社会との連携を図りながら指導に努めている。

 

二 生徒指導研究推進校について

生徒指導上の諸問題について、その解決のため種々研究、実践されているところであるが、特に重要な課題や、今後解決されなければならない課題について、一層研究を深めたりあるいは先進的な研究、実践を試みるなどのため、研究推進校を指定している。

福島県教育委員会指定の生徒指導研究推進校として、県立好間高等学校が昭和六十三年度・平成元年度の二年間にわたり「自律性を高めるための生徒指導-生き生きとした学校生活を目指して-」をテーマに研究・実践し、平

 

 

 


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