教育福島0148号(1990年(H02)07月)-051page

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教育・イン・ザ・ワールド

−海外教育事情の紹介

国際化にふさわしい教育の話題をシリーズで紹介する「教育・イン・ザ・ワールド」。

今回は、平成元年度の教員海外派遣でヨーロッパ各国を視察された根本清夫先生に、八ンガリーや西ドイツの教育事情等について報告をいただきました。

今、しなければならないことが沢山ある

−ハンガリー−

オーストリアとの国境近くのショプロン市、ラックナー・クリストフ小学校の職員室に掲示されていた教職員の合い言葉である。

「ここ一年、ハンガリーは急激な変化を遂げている。『個人の能力を自由に伸ばすことで社会全体の知恵は伸びていく』という教育理念に立って教育改革を進めていく」と熱っぽく語った市の教育長ホルバーツ氏。教職に対する自覚と誇りを持って情熱を注ぐ教師。

その人たちの心には、「今、しなければならないことが沢山ある」という思いがあふれていた。

授業を参観して感じたことは、教師の力量・指導姿勢のすばらしさである。二週に一度、専門別に十一の勉強会が開かれ研修を積んでいるとのことだったが、児童に対する適切な指導助言、子どもの心をつかみ、引きつける話し方など実に巧みであった。

ハンガリーの音楽教育を象徴する、コダーイの理論は現実に根ざした見事な実践として定着していた。

月に一度の校内でのディスコパーティで、おしやれをしてダンスを楽しむ開放的で人なつっこい生徒たちも、授業では教師の説明・発問にじっと耳を傾け、話し合いでは、はきはきと自分の意見を述べ合う。

生徒たちの明るさ、礼儀正しさと相まって文字通り心身とも健康な姿であった。

真剣な態度で美術の学習(ハンガリー)

真剣な態度で美術の学習(ハンガリー)

全生徒にコンピューターの繰作をそして、九歳で英語を

−西ドイツ−

西ドイツの学校教育の目指すものとして、州視学官が語ったのが右の言葉である。

フランケンタール市のフレードリッヒ・エバートーシューレ(小学校)では外国で育った子どものために、学級を特設し言語の指導に当たっていた。

中学校の英語の授業は習熟度別に二コースに分かれ、一方は会話を中心に一時間を英語だけで通し、他は会話以前の内容について丁寧な個別指導を行うという具合であった。

コンピューターの操作についても職業学校を中心に施設設備の整った環境の中で実施されていた。

学力`技術の発達段階の系統にゆるぎなさを感じる教育制度。科学技術の進歩や世界・EC諸国の動向に対応した教育が着実に推進されていた。

西ドイツの職業学校でのパソコン実習

西ドイツの職業学校でのパソコン実習

両国とも日本をお手本にしたいと言う。世界の流れの中で教育の在るべき姿を探っているのは同じである。その流れがどう変化しようとも、人間が生きる上で重視されねばならぬものについては両国ともかたくなであった。変化を求められる部面だけのお手本が日本であることの意味を考えねばならぬと思った。

根本清夫 郡山市立小原田中学校教頭


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