教育福島0149号(1990年(H02)09月)-011page
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
調査の実施と検討を中心に、指導の資料を整えた。
(5) 保護者研修部会
保護者を啓発し、意識の高揚及び連携を図るため、計画的な研修会や広報活動を行なった。
六、研究の概要
1〔研究1〕三年間を見通した進路指導計画の整備とそれに基づく継続的な学習への取り組ませ方
(1)「生き方」の指導をめざす指導計画
進路指導は、単なる指導に終わってはならない。個性・能力の異なる一人一人の生徒が、学校生活のさまざまな場で活動し、それが将来の職業選択に有益なものとなるようにさせていくことが必要である。進路指導では、その基盤として「どう生きたらよいか」を考える指導を推し進めてきた。このことから、指導計画の再検討とその整備から着手した。(指導計画部会)
(2)望ましい生徒像を描いた具体的な指導計画
「創造性に富み、積極的に未来をひらく人間を育成する」本校教育目標を具現するために、望ましい生徒像を描いた。(資料2参照)本校のシンボルである「開拓する心」は、きびしくたくましく、未知のとびらをたたき、未来をひらくと書かれている。望ましい生徒の姿はこれを実践していく生徒の姿を具体的にしたものである。
(3) 全体を見通した系統性のある計画
進路指導でねらう能力・態度の育成を具体的に指導できる計画となるためには、全体計画から時案までの一貫性がなければならない。生徒の心身の発達段階や生徒の特性等を十分に配慮して指導できるようにするために、主として次のような計画を整備した。
ア、進路指導推進全体図 イ、進路発達課題一覧表 ウ、進路発達課題学年段階一覧表 エ、学級指導主題配当表と主題系統表 オ、進路学習指導案(42時間分) 力、学年別進路相談計画
(4) 進路の学習の継続的な取り組み
進路指導は、職業的発達を促す活動である。このような教育活動は、中学校三か年の学校教育活動全体を通して行われなければならないが、とりわけ進路指導の時間の継続な取り組みが大切である。この点から、一年十三時間、二年十五時間、三年十四時間の計四十二時間を、主題配当表に位置付け、他領域との関連からこの時間数におさえた。しかし、月曜日の学級指導の時間だけでは確保できないので、水曜日の創意の時間にも設定し実践してきた。「生き方」の指導は学校教育全体の中で体験的活動や継続指導の中から育成されるものと考えたからである。
2〔研究2〕 自己理解を深めさせる手立て
(1) 進路指導における生徒理解のあり方の研究
初年度の研究が生徒理解におかれたのは、教師による生徒理解が十分であったかどうかの反省に基づいたものである。理解すべき事柄が客観的なものに近づけるように、生徒理解の進め方を確認した。
ア、生徒理解の手順の適切化
イ、個人資料の収集
ウ、『進路カード』等の整備と活用
エ、学級指導、進路相談における生徒理解及び自己理解の指導と援助
(2) 個人資料の収集
生徒理解を有効に援助するために、次のような個人資料を収集した。
ア、生徒調査表(一年時に記入)
イ、個人相談票(相談時に記入して活用する)進路状況調査(全学年)
ウ、アップル性格検査(二年)
エ、『私の進路』カード(全学年)
一年時から記入を始め、三年間継続するよう定期的に記入した。
オ、進路学習ファイル(全学年)
進路学習に用いた資料や個人の記録を整理し保管した。
(3) 自己理解を深める授業のために
ア、自己理解の指導系統の明確化
イ、授業時間数、指導の時期の明確化(学級指導主題配当表による配分)
ウ、進路学習への働きかけ
・定期相談や観察による状況の把握
・学習内容の予告と学習の準備
・授業における事前・本時・事後の諸活動(主体的な活動場面設定)
・指導過程の工夫と改善
3、〔研究3〕学年の発達段階に応じた目的意識の育成
(1) 学年の発達段階
一年 興味段階 興味関心を中心とした職業を挙げる段階
二年 能力段階 自己の諸能力を基準とした希望職業を挙げる段階
三年 価値段階 職業観や勤労観など価値の立場からその自己の希望職業を変更していく段階
(2) 個々の生徒の発達の把握
1)個々の資料をもとに『進路カード』に記入させた。
2)個々の生徒の変化を把握した。六月十二月、二月に定期的に観察、記録させた。(特性、学習活動、進路の方向や計画、進路に関する自分の問題点など)
3)個々の生活の進路発達の具合を確かめた。
(3) 個々の発達に応じた指導のチャン
資料2 進路を学習する望ましい生徒の姿
進路指導における望ましい生徒像(生徒の側では、「進路を学習する望ましい生徒の姿」)
1 自分の将来の生き方に関心を持つ生徒
2 自分の特性の発見に努め、それを伸ばそうとする生徒
3 進路の選択や計画を進んでする生徒
4 卒業後の生活によりよく適応できる生徒
5 将来、職業の世界での希望を果そうとする生徒
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |