教育福島0150号(1990年(H02)10月)-047page
教育・イン・ザ・ワールド
−英語指導助手との交流−
国際化にふさわしい教育の話題をシリーズで掲載する「教育・イン・ザ・ワールド」。
本号では、AET(英語指導助手)が配置されている学校での、受け入れ側の工夫とAET配置後の生徒たちの変容等について、県立湯本高等学校からのレポートを紹介します。
AETと英語教師との相互理解に努める
県立湯本高等学校
AETが初めて湯本高等学校に配置されたのは、昭和六十三年八月である。AETを教育現場、特に英語教育の現場に迎えることは、我々英語教師だけでなく、他教科の先生方にとってももちろん初めての経験である。
未知の分野の壁は大きく見えるものである。AETの到着前から、一種のカルチャー・ショックがあったのである。現実に教室内外でAETと共に様々な活動をしてみると、大きなプラスと小さなマイナスの複合効果があった。
本校の英語教師にとってTT(協同授業)は初めての体験である。今までの授業経験が必ずしも役に立つとは限らない。心理的に絶えず不安感がつきまとう。ところが、この不安感が次への飛躍へのステップになるのである。
より充実したTT方式の授業を成立させるためには、従来の授業形態とは異なった視点と方法に基づいて授業を展開する必要がある。
このような状況の中で、本校では次のような活動を通してAETとの交流を図り、授業活動の活性化を試みている。
AETが着任した八月早々に英語科の先生方の研修旅行に英語教師の一員として参加してもらう。先生方とのコミュニケーションを通してできるだけ早い時期に集団の一員としての意識をお互いに持つことを意図するからである。この時期にAETと日本人教師がお互いの理解を図ると、二学期の開始時期にはかなりスムーズに意見の交換が可能になる。授業は英語科の生徒を対象にしたものが主である。普通科の場合はLHRに招いている。また、AETには英語クラブの活動にも積極的に参加してもらっている。
AETが本校に配置されるようになって、生徒たちの様子にも変化が生じている。英語で文通をする生徒の増加、英語スピーチ・コンテストヘの参加者の増加、英検二・三級の受験者の増加、英語クラブの活動の幅が一段と広がったことなど、副次的な効果も大きい。生徒たちの自らの体験に裏打ちされた異文化理解が、一人一人の意識の国際化に大きな教育効果をもたらすことを本校教師たちは期待している。