教育福島0151号(1990年(H02)11月)-024page
集管理及びその利用を図る歴史資料館より構成されており、昭和四十五年の開館以来、県民文化の振興のため各種の事業活動を強力に推進してきている。
特に近年、県民一般の心のゆとりなどから芸術文化への関心が高まりつつあることに鑑み、より利用し易い文化会館、歴史資料館であることに配慮し、県民一般の広い活用に努めているところである。
なお、県文化センターは、県内二十余の文化施設の中核的役割を担うことにも留意し、県内一般はもちろん、少年、幼児等を対象とした少年劇場、家庭劇場の巡回公演の実施など自主文化事業の充実強化に格別努力をはらっているところであり、今年度事業は二十三ページの表5のとおりである。
また、県文化センターでは昭和五十二年以来、県教育委員会の委託を受け県内各地の大規模地域開発プロジェクト事業の実施や道路整備、あるいは大規模農用地造成事業などの実施に伴って破壊されるおそれのある埋蔵文化財(遺跡)の記録保存のため、分布調査や発掘調査を鋭意継続実施中であるが今年度の調査事業箇所及び調査面積は表6のとおりであり、県文化センターにとって大きな事業分野の一つとなっている。なお、昭和五十二年度からの発掘調査の成果を県民一般に報告し、県内埋蔵文化財への理解を深めていただくため、本年七月二十日より八月三十一日まで県文化センター歴史資料館において、縄文人のくらし展を開催した。
十三、福島県立美術館
昭和五十九年七月に開館した福島県立美術館は、県民に親しまれる文化施設として着実な歩みを示している。
平成二年度の美術館事業概要は次のとおりである。
一、企画展
(1) 「ワイエス展-ヘルガ」
アメリカ写実絵画の巨匠アンドリュー・ワイエスが一人の女性ヘルガをモデルに描いた連作ヘルガ・シリーズの中から主要作品百二十六点を展示した。
(2) 「ヒトのかたち・美のかたち展」
人間の表情や形態等を現代美術の様々な技法によって表現した絵画、彫刻、オブジェ等七十八点を展示し人体のおもしろさや美しさを紹介した。
(3) 「シャガール名作版画展」
二十世紀絵画の巨匠マルク・シャガールの初期から晩年にいたる様々な版画作品の中から、石版画、銅版画、木版画など代表作約百五十点を紹介した。
(4) 「北大路魯山人展」
昭和の光悦とも呼ばれる北大路魯山人の芸術を世田谷美術館所蔵・塩田コレクションの陶器、絵画、書等約百六十点によって紹介した。
(5) 「酒井三良展」
日本美術院同人として活躍し、独特の詩情あふれる田園風景を描いた福島県出身の日本画家・酒井三良の画業を代表作約百点により紹介した。
(6) 「ローマ発・大型銅板画への挑戦展」
ローマの版画工房で作成された大型銅版画をカルダー、ムーア、フォンタナ、マンズー等二十世紀の代表作家の作品によって紹介する。
(7) 「福島の美術家たちV展」
福島県出身、在住、ゆかりの作家の制作状況を日本画、洋画、彫刻工芸、書の五分野約四十名の作家の作品約百二十点によって紹介する。
2、常設展
表6 平成2年度埋蔵文化財調査計画