教育福島0151号(1990年(H02)11月)-039page

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館長 できるだけ文化を親しみ易いものにするため、展示の仕方、話しかけ方、印刷物の書き方に配慮しながら、文化というのは肩苦しいというイメージを取り去ることを館のひとつの努力目標にしております。ですからできるだけ漢語や横文字を使わないように、そういうふうにして文化をまず皆のものとして、安心して寄ってきていただく。寄ってきて分かれば自然にそれを尊敬する気持ちが少しずつ出ればいいと、そういうことを心を引き締めてやっていきたいと考えております。

 

3、新しい文化の創造

 

司会 視点を変えて、これからの文化行政の在り方についてお話を伺いたいと思います。

館長さん、福島県の文化はどのように受け継いでいかなければならないとお考えでいらっしゃいますか。

館長 福島県は地理的にも歴史的にも、中間的な関東や北陸よりももっと東日本を代表するような文化が多いということができます。

私はそういうことを踏まえて、二十一世紀を展望した時には、東日本・北日本というグルーピングは必要であり、県単位でだけ自給自足する考え方では未来を展望しにくいのではないかと思います。

そして、それを県民皆が大きな日本全体に対する使命感を持ちながら、大きな目で県政を未来に押し上げていくことになるのだと思います。

司会 文化福島を創造していくには人材育成が大きな役割をなすと思いますが、知事さんその点いかがですか。

知事 私は人材教育と人材立県ということを申しておりますけれども、基本的には人間立県と申しますか、まず素晴らしい人間があって、そこから出発しなければならないという考え方を持っておりまして、そういうことを大切にしていきたいと思います。

ですから、昨年九月に会津に四年制の大学をつくろうと決定した訳ですが、この百二十年会津の方が待っただけの意味のある、価値ある大学として、会津の人間立県のひとつの拠点になればと思っております。

具体的には、平成五年開学ということで情報系学部一学部三学科で考えておりますが、情報系学部をそのまま質の高いものにしていくということで、大学院を平成九年に設置していこうということになっています。

司会 人づくりと文化の振興を図るには、文化施設の整備が重要な課題になるかと思うんですが、その点はいかがですか。

知事 文化施設につきましては、博物館も含めて文化三施設が整備された訳ですが、これで十分ということではなくて、いろいろ考えていきたいと思っています。

司会 これから新しい福島の文化を創造するためのアドバイスを前知事さんから伺えますでしょうか。

前知事 私はやはり福島県は昔からの伝統を受け継いで、日本の良さ、外国の良さをよく見て、いいところを取り入れて福島の文化として築き上げていただきたいと思っている訳です。

司会 これからの展望ということで、知事さんにひとことお願いします。

知事 現在、県土の二十一世紀に向かっていろいろと考えておりまして、イメージ懇談会から、二十一世紀の新しい生活圏、美しい福島県の創造というキーワードが出てきた訳です。

このキーワードで考えますことは第二国土軸の中の福島県が、潤いのある生活という視点から県土づくりをしていく必要があるということであり、美しい福島の美しさの中身を考えながら企業に来ていただく時代が来ているということであります。

司会 それではまとめということで、館長さんからお願いいたします。

館長 私は、自然を守ることが人間がつくる文化よりも素晴らしい文化であると国民皆が実感すべきと思います。

それから、福島県が三つに分かれていることを積極的にプラスとして評価する行政が力強く出ていくべきでないかと思います。そういうことから、一層我々の税金が最も有効に使われるように、重点施策を県民皆が支持するように進められ、十年二十年三十年経って、これがあの時佐藤知事がなさった仕事で、今もってしゃんと生きて機能している行政のモニュメントだといわれるようなことになったら素晴らしいと思います。

私は前知事が会津の地に博物館を置かれたこと、これから先何十年経っても正解だったというようなことになると思います。

司会 どうもありがとうございました。

今日は一時間という限りのあるお時間での座談会でございましたが、文化福島の発展のために、今日御出席いただきました三人の皆様方には、これからも益々の御活躍をお祈り申し上げたいと思います。お忙しい中、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 


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