教育福島0152号(1991年(H03)01月)-033page
▼コンピュータを使って
三年生で初めて温度計について学習する。そこで温度計の目盛りを読む学習をするわけだが、実際の温度計の大きさでは小さすぎる。提示用としてコンピュータにより大画面にうつし出して、分かりやすく説明した。
▼子供たちは
温度の上下する様子をシミュレーション的にうつし出し興味をそそった。温度計は、見る場所によってだいぶ誤差が生じる。正しい見方を学習したあと、楽しく校外で温度の測定ができた。
(実践例2)「ものの重さとてんびん」
▼ねらい
上皿てんびんの扱い方について、正しく理解することができる。
▼コンピュータを使って
実際に上皿てんびんを操作する前に、一斉指導により、てんびんの使い方を理解させた。分銅を乗せると皿が上下に動くというシミュレーションになっており、カードで黒板に貼りつけた絵よりは、数倍効果が上がった。
▼子供たちは
楽しく学習に取りかかれたというのが第一声である。物の重さをはかるという直感を働かせたゲーム的要素のものであり、授業の盛り上りも見られた。
(実践例3)「太陽と月」四年
▼ねらい
太陽の位置・方向・動きについて理解させる。
パソコンで上皿てんびんの使い方を理解
▼コンピューターを使って
太陽の観測には、斜光プレートを用いるのだが、太陽の出る方向、動き、沈む方向など、一年中観測するわけにもいかないので、ある期間観測したらコンピュータ画面でまとめた。太陽が、東−真南−西と、半円の軌跡を残しながら動くところに特徴がある。
▼子供たちは
太陽の動きのまとめとして扱った。画面を矢印キーにより具体的に操作することによって、太陽の軌道がよく理解できたようだ。六年生の理科にも生かせるので、大変便利である。
(3) 社会科における活用
社会科では、「資料の再構成」に活用した。その他、「事実・事象の提示」「資料の検索」などの場面での活用が考えられる。
(実践例1)「学校のうつり変わり」三年(編集したのは四年の時)
▼ねらい
学校の児童数を表すグラフから、その変化の様子についてとらえ、変化の原因について追究することができる。
▼コンピュータを使って
学校沿革誌の数字をもとに、データを迅速にグラフ化する機能により、児童に分かりやすい表が提示できた。
▼子供たちは
地域の資料をグラフ化することにより、児童も興味をもって授業に臨むことができた。また、棒グラフなどの資料を的確に読み取り、児童数が減少した理由も分かった。
六、 研究の成果と今後の課題
コンピュータの特性を踏まえた活用としては次の点が成果としてあげられる。
1) 提示学習用機器として
・算数科を中心とした授業において、筋道を立てて考えられるようになった。
・児童と共に問題を創り上げるのに役立った。
2) ドリル学習用機器として
・九九の反復練習など、繰り返し学習するのに役立った。
・解答の結果がアニメーションになり、点数が表示されることから、進んで問題を解こうとする意欲が起きた。
3) シミュレーションさせる機器として
・理科では、動画や音に引きつけられ、今まで課題をつかめなかった児童も、自分から進んで課題に取り組むことができた。
以上のように、コンピュータを授業に活用することで、学習に対する児童の意欲の高まりがみられた。特に、課題解決の手だてが明確に示されることにより、子ども達が主体的に課題解決に取り組む姿が見られた。
また、指導過程にコンピュータの活用を位置付けたことにより、指導パターンの多様化が図られるとともに、教師自身が、教科の目標に迫まる授業を組織できるようになった。
(2) 今後の課題
1) 授業での活用から
・一斉授業として一(二)台で授業を進めた。児童の学習意欲は高まったが、個々人の到達度は、はかれなかった。
・個別指導には、最低二人に一台コンピュータが必要だと考える。
・主に算数、理科、社会で活用したが他教科での活用も検討する必要がある。
2) ソフトに関して
・学習や学級に合ったソフトを見つけることは、大変むずかしいことである。しかし、効果的なコンピュータの活用には、それに適したソフトがなくてはならない。今後、個に応じたソフトの開発が必要であろう。