教育福島0153号(1991年(H03)02月)-046page
ふくしま施設の散歩道
天山文庫
双葉郡川内村大宇上川内手早渡五一三
〇〇二四〇−三八−二八三六「モリアオ蛙」の縁で、村を訪れるようになった、詩人草野心平先生を昭和三十五年名誉村民に推戴したところ、ありきたりでない名誉村民ならと快く受けられました。村では、名誉村民条例に基づき、毎年木炭百俵を贈ることになり、そのお礼にと蔵書三千冊が寄贈されたのを機に、村民が一木一草を持ち寄り、山本勝己氏の設計で、昭和四十一年七月に文庫を建設し、先生に贈りました。昔、アジア大陸の極奥部を貫き、東洋と西欧文明交流の道となったシルクロードにそびえる天山山脈になぞらえ、文庫を通して、みちのくと中央の文化の交流と、人と人との出会い、融合の願いをこめて、草野心平先生はそれを「天山文庫」と名付けました。当時は、三千冊の蔵書が納められましたが、文庫をより充実するために、井上靖、金子光晴、唐木順三、河上徹太郎、川端康成、小林勇、高村豊周、武田泰淳、谷川徹三、中野重治、西脇順三郎、古田晃、松方三郎、武者小路実篤、村野四郎、山本健吉の諸氏が、天山文庫設立協力委員発起人として活躍された結果、現在は、五千冊の蔵書が、酒樽を利用した第二、第三の書庫に納めてあります。
草野心平先生亡きあとも、毎年七月十六日には、各自、酒、肴を持ち寄り、飲み、食べ、踊る、みちのくと中央の文化の交流の「天山祭り」が、盛大に行われます。
奥会津地方歴史民俗資料館
南会津郡田島町大字田島字丸山甲四六八一
〇二四一−六二−三八四八
この資料館は、明治十八年に建築された旧南会津郡役所(明治初期洋風木造建築、昭和四十六年福島県重要文化財指定)を利用し、昭和五十七年四月に国の重要有形民俗文化財に指定された「奥会津の山村生産用具」四千八百七十一点をはじめとして、奥会津地方で使用されてきた約一万点の民具を展示しています。
これらの民具は田島町西町の故佐藤耕四郎氏の収集品及び町の有志の寄贈品からなっています。
近代文明が進歩の名をもって追放した民具は、私達の祖先が何百年もの間にわたって自分の手足として使ってきたものです。過去の生活文化を探るうえで大切な資料となるこれらの民具を出来るだけたくさん集めようというのも、当資料館の大きな目的の一つです。
また、現在、田島町古今地区に国指定重要有形民俗文化財である「奥会津の山村生産用具」の収蔵庫の建設、一般公開のための展示館の建設及び古民家の移築復元等の整備を進め、新たな民俗文化財保存施設の集積充実に力を注いでいます。