教育福島0153号(1991年(H03)02月)-047page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育福島0153号(1991年(H03)02月)-047page


教育・イン・ザ・ワールド

〜アメリカ合衆国の教育事情〜

国際化にふさわしい教育の語間をシリーズで紹介する「教育・イン・ザ・ワールド」

今回は平成元年度の教員海外派遣で海外の教育事情を視察された梅田秀男先生に、特にアメリカ合衆国のハイスクールの状況について報告をいただきました。

多彩な選択科目講座

−アメリカ合衆国−

アメリカ合衆国モンタナ州ビリングズ市には三つのハイスクール(いずれも四年制、日本の中三〜高三、生徒数千二百〜千五百名)があり、それぞれに「ジャーナリズム」「看護」「アート」「株式」など、四十近い選択科目講座が設けられ多彩な授業が展開されていた。その中には現在の日本の高校では考えられないような科目もあり驚かされた。次の二講座はいずれもビリングズシニアハイスクールの三・四年生を対象とした選択科目である。

「ジャーナリズム」

この講座は、学校新聞発行作業を通してジャーナリズム一般を学ぼうというものである。昨年度(一九八九・一〇・六訪問)の選択者は二学年合わせて四十五名、二講座に分けて授業が行われていた。担当教師は一人。この教師の指導のもとに、生徒達は年間を通して週五時間(毎日一時間)新聞作りに当たる。構想・取材・草稿・割付・校正等、印刷以外はすべて生徒の手で行われる。勿論校外に出ての取材もある。私達も日本の教育その他について様々な質問を受けた。いずれも漠然としたインタビューではなく、焦点を絞った、目的意識の感じられる、いわば記者の目を持った質問で感心させられた。私はそこに、知識だけではない、実体験を通しての生きた学習のあり方の一端を垣間見た思いがした。この学校では現在タブロイド版十六頁の新聞を三週間に一回発行しており、これは創立以来五十年続いているということであった。

「看護」

この州では心身障害者と健常者とが同じ学校で学んでおり、この高校には約六パーセントの身障者が在籍していた。「看護」の授業はこの身障者(学友)の世話を通して看護を学ぶというものである。昨年度の選択者は四十名。そのほとんどが身障児教育に関心を持ち、将来はその方面に進みたい希望を抱いている生徒だという。私達が参観したのは、重度身障者を含む十五〜六名、その看護をする生徒十二〜三名、教師二名から成る講座であった。健常者と同じ学び舎で生活する身障者、その友人に手を差し延べ看護を学ぶ生徒。私には全く、思いもよらなかった講座だけに、このような教育の遣り方もあったのだと驚きにも似た感慨を覚えた。

梅田秀男 県立福島高等学校教諭

スカイビュー校での音楽の授業(指揮するのは生徒)

スカイビュー校での音楽の授業(指揮するのは生徒)

の数学の授業(アメリカでは新しい建物はすべて「白板」になっているとのこと)

ウエストハイスクールでの数学の授業(アメリカでは新しい建物はすべて「白板」になっているとのこと)

ェ目玉焼を作っている。先生の上方にはその作業が見えるようにミラーがある。)

ウエストハイスクールでの家庭の授業(先生が目玉焼を作っている。先生の上方にはその作業が見えるようにミラーがある。)


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。