教育福島0154号(1991年(H03)04月)-047page
教育・イン・ザ・ワールド
楽しいティームティーチング−生徒とともに−
原町市がイギリス女性のAETを招致したのは、平成元年の八月である。以来、今日まで中学生の英語力の向上と日英の交流に大きな役割を果たしてきた。
AETの活動の中心は巡回指導で、市内四つの中学校を定期的に巡回し、英語指導の実績を上げている。
毎日の授業では、英語教師とAETによるティームティーチングが行われ、創意工夫をこらした学習指導が展開されている。
授業は、まず、英語教師とAETの会話から始まる。「何を話し合っているのかな」と投げかけ、生徒の興味・関心を誘う。物語教材の導入では、絵と表情豊かなゼスチャーで概要をとらえさせ、「予想したことが本人ではどうだろう。当たっているかな」と学習意欲を盛り上げる。さらに、基本文型や単語の段階では、インタビューゲームやしりとりゲームを取り入れるなど楽しい学習の中で基礎・基本の定着を図っている。
教師の一方的な授業にならないよう、絶えず生徒に活動させることを念頭におきながら、教材研究、授業にと積極的に取り組んでいるAETのアリソンさんの姿勢には学ぶところが多い。
生徒個々の応答を上手に処理し、笑顔の絶えないアリソンさんに、生徒たちは親近感をいだき、「英語の授業が楽しい」と異口同音に答える。
県教育委員会から国際交流教育の指定を受けた原町第一中学校が、昨年十月に二年間にわたる研究の成果を公開発表した。ティームティーチングの息もピッタリで、大勢の先生方の見守る中で、生き生きと英語の学習に取り組む生徒たちの表情が印象的であった。
一方、英語担当教師も指導力の向上を目指して毎月一回、AETを囲んでの研修会を実施している。和やかな雰囲気の中にも、表情は真剣そのものである。
来日以来、日の浅いアリソンさんはこのほか、クラブ活動やスピーチコンテスト、交流活動などにも積極的に参加し、多くのメニューをこなしてきた。
昨年度三学期には、市内の八小学校を巡回し、六年生中心の児童たちに母国の話をしたり、ゲームやクイズなどをしたりして、楽しいひとときを過ごした。今年の五月には、市内の四中学校から十四名の生徒が、日英子供交流の一環として訪英し、ロゼットハイスクールの生徒たちと親交を深めることになっている。もちろん、アリソンさんも同行することになっている。
着物がよく似合い、日本食の大好きなアリソンさんは、現在、華道を修業中である。日本の文化を愛し、日本人の友達も多くできた。生徒たちとの心の交流の輪は、大きく広がっている。
ティームティーチングのひとこま
ある日の授業風景