教育福島0154号(1991年(H03)04月)-046page
ふるさと探訪
県指定重要無形文化財(工芸技術)
消金地
会津における漆芸の歴史は古く、近世初頭、蒲生氏郷が会津入部の際に近江国(現在の滋賀県)から漆芸の技術者を移住させており、また、藩政期を通じ京などから漆芸技術の導入が盛んになされていた。
天明年間(一七八一〜八八)に金の消粉(極めて細かい粉)を用いる消粉蒔絵の技法も伝えられていたが、会津ではこの技法を消蒔絵と呼び、中でも金無地に蒔きつめたものを消金地と呼んでいる。
この消金地の工程で肝心な点は、摺漆を適度な厚さで均一に行うこと、摺漆が最適になった状態を見極めて粉蒔きを行うことにあり、特に熟練を要する高度な技術である。
消金地は、現在、会津以外ではほとんど行われず、会津の漆芸技術の特色を伝えた工芸史上貴重なものであり、芸術的にも価値が高い伝統技術といえる。
なお、「消金地」の伝統技術を高度に体得している漆芸技術者(無形文化財の保持者)として会津若松市に住む金川秀吉氏(八十二歳)が、平成三年三月二十二日付けをもって、消金地の指定とともに、認定された。
消金地認定保持者金川秀吉
住所会津若松市大町二丁目2番42号生年月日明治42年2月13日
屠蘇器セット保持者金川秀吉氏