教育福島0155号(1991年(H03)06月)-004page
文化の窓
県立博物館企画展
縄文絵巻−土器に宿る精霊たちの饗宴−
会期7月20日〜9月23日
横山大観が感嘆し、岡本太郎が絶賛した縄文土器−□縁に展開される立体的で豪華な装飾、胴の部分に繰り広げられる複雑な文様、その荘厳さ、その重厚さ、その華麗さ、見る者の心までも踊らせる躍動美。自然を畏れ、自然を敬い、自然を愛し、自然と共にあった縄文のひとびとが、その全霊をこめて作りあげた縄文土器。そして数多い縄文土器の中でもひときわ私たちを魅了するのが、約四千五百年前に作られた、中期縄文土器と言えるでしょう。原始芸術の極致と言っても過言ではありません。夏の企画展は、この、世界に例をみない中期縄文土器の素晴らしさを存分に堪能していただきます。
縄文文化は、東日本を中心に華ひらきました。今回は東日本各地の土器を一堂に集めます。福島をはじめ、青森や東京や長野、そのほかさまざまな地域を代表する土器が、博物館を会場に、それぞれの魅力を競い合ってくれるでしょう。いわば”全日本ミス縄文土器コンテスト”!?
縄文土器の文様には、当時のひとびとの宇宙観が秘められているのでしょうか。土器の顔を見ていると彼らの「心が見えてくるかもしれません。音や声が聞こえてくるかもしれません。そしてその背後には、水に、火に、木に森に、土に山に……自然すべてに宿り、土器そのものにも宿っている精霊たちの姿を垣間見ることができるかも知れません。この夏、縄文の心にふれてみませんか?
(写真説明)
左上
福島を代表する中期縄文土器
河沼郡柳津町石生前遺跡出土、柳津町教育委員会蔵
右中
新潟を代表する中期縄文土器
長岡市馬高遺跡出土、長岡市立科学博物館蔵
右下
山梨を代表する中期梶文士器北巨摩郡大泉町甲ツ原遺跡、山梨県立考古博物館蔵