教育福島0155号(1991年(H03)06月)-006page

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提言

精神薄弱者の自己表現と「関係の教育」

山下勝弘

 

二十年間、精神薄弱児と精神薄弱者の教育や福祉に、参加してきたことになる。

 

一九九一年。今年は、創設の時から責任を持っている社会福祉法人「牧人会」は設立二十年、最初に設置した白河めぐみ学園は開園十九年を迎える。いつのまにか二十年間、精神薄弱児と精神薄弱者の教育や福祉に、参加してきたことになる。

この二十年間で、精神薄弱者への福祉理念や、提供してきた援護サービス内容は大きく変化してきている。最初の福祉施設「白河めぐみ学園」を開園した昭和四十七年頃は、第二次大戦後、保護の理念から出発した精神薄弱者福祉が、ようやく衣食住などの基本的生活保障の段階を経過して、これに加えて発達保障の理念にもとづく援護サービスが具体化した段階であった。

現在の精神薄弱者福祉理念は、この発達保障に、さらに存在保障の理念を加えた段階に到達している。具体的には精神薄弱者、つまり精神薄弱という障害をもった状態の人であっても、居住する地域社会の中で、他の人達と同じように人間として尊重され、権利が保障され、同じ生活様式や生活水準をもって生活し、地域の住民として地域社会生活に参加する生活の実現、存在の保障を福祉理念の基本におき、これを実現する援護サービスの提供に努力している段階である。

 

【筆者紹介】

 

山下勝弘・やましたかつひろ

昭和十年 神戸市に生まれる。

昭和三十五年 同志社大学大学院神学研究科卒業

昭和四十六年 日本キリスト教団大森めぐみ教会副牧師を経て、社会福祉法人「牧人会」(まきびとかい)を設立、理事長に就任

昭和四十七年 白河めぐみ学園(精神薄弱児施設)園長

○現在、「牧人会」は福島県、山形県に幼児から成人までの精神薄弱関係八施設を設置、運営している。著書に「北欧福祉の散歩」「精神薄弱者のための性教育ガイドブック」「シーヴス法の理論と実際」等がある。

 

 

 

 


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